埼玉新聞

 

あの小説をオマージュ「惜別の思いを形に」 2024年閉店の新所沢パルコ、「40年」紡いだ文芸・映像作品募集

  • 「さよなら新所沢パルコ文芸・映像コンテスト」を開催する実行委員会の山下勝也さん(左)と林優衣さん=埼玉県所沢市内

    「さよなら新所沢パルコ文芸・映像コンテスト」を開催する実行委員会の山下勝也さん(左)と林優衣さん=埼玉県所沢市内

  • 「さよなら新所沢パルコ文芸・映像コンテスト」を開催する実行委員会の山下勝也さん(左)と林優衣さん=埼玉県所沢市内

 2024年2月に閉店する埼玉県所沢市緑町1丁目の商業施設「新所沢パルコ」への思いを文章や映像でとどめようと、市民や商店会らでつくる実行委員会が「さよなら新所沢パルコ文芸・映像コンテスト」を開催する。40年間にわたって営業してきた新所沢パルコを「商業施設の枠組みを超え、文化の発信拠点だった」と位置付け、施設にまつわる作品を広く募っている。

 新所沢パルコは1983年6月、西武新宿線新所沢駅西口にオープン。建物にはアーチ形のデザインが連続的にあしらわれ、映画館「新所沢レッツシネパーク」が置かれている。かつては西武百貨店などと共にセゾングループの一つだったが、現在はJ・フロントリテイリングの傘下にある。

 コンテスト開催の背景には、宮島未奈さんの小説「成瀬は天下を取りに行く」がある。閉店を前にした西武大津店に、プロ野球埼玉西武ライオンズのユニホーム姿で毎日通う中学生を描いた物語だ。同コンテスト実行委員長の山下勝也さん(63)は「小説をオマージュする形でスタートした」と説明し「新所沢パルコへの惜別の思いを形にしたいと考えた」と語る。

 山下さんは82年に西武百貨店に入社し、現在はポータルサイト運営などを手がけている。パルコについて「同じセゾングループの中でもとんがっていて、憧れの場所だった」と振り返る。新所沢の店舗は「庶民的で距離感が近い」ことが魅力だという。

 実行委のメンバーで所沢市出身の林優衣さん(20)=早大2年=は「小さい頃から何かを買いに行くのは新所沢パルコだった」と言い、「お世話になったパルコで、何かできるならやらせてほしいと参加した」と話す。

 募集は文芸と映像の2部門。文芸は400字詰め原稿用紙40枚(1万6千字)以内で、日本語で書かれた小説またはエッセーとしている。PDF形式で提出する。

 映像部門はジャンル不問とし、横型の映像で10分以内。実写やコンピューターグラフィックス、アニメーションなど、いずれも可能としている。

 1人につき何点でも応募できる。両部門の同時応募もできる。いずれも未発表の作品で、生成AI(人工知能)の使用は認めないとしている。

 審査員には作家のドリアン助川さん、脚本家の川原杏奈さんらを予定している。

 山下さんは「新所沢パルコがあった40年の間にはいろいろな物語がある。その物語を文字や映像にし、思い出を語り合えたらいい」と話している。

 応募の期間は23年12月20日まで。大賞に10万円(両部門から各1作)、優秀賞は3万円。24年2月に新所沢レッツシネパークで表彰式を開く。

 問い合わせはパルコ南通り商店会のホームページから。

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