夢のような桜、伐採の危機…東武線・七里駅前の整備で 樹齢300年以上 住民が署名活動を検討
さいたま市見沼区風渡野の東武アーバンパークライン七里駅北側にある3本の桜の木が伐採される見通しとなった。駅周辺の区画整理事業に合わせ9月に伐採が予定され、既に看板も建てられている。駅近くに住む井上陽子さん(73)は「七里のかけがえのない地域の宝がなくなるのは残念」と肩を落としている。
桜の木はそれぞれ高さ約12メートル。近隣住民によれば樹齢300年以上になるという。根元から多数の幹が分かれ、太い幹周りは4メートル近く。約20メートル離れた七里駅のホームに届きそうなほど生い茂り、毎年春には駅利用者や近隣住民の癒やしの場所となっている。満開時には桜を観賞してもらおうと、駅員がホームのベンチを桜の方向に回転することも話題を呼んでいる。
井上さんが桜の木を撤去する看板を見たのは3月下旬。「満開となると夢のような豪華な眺め。地元の貴重な木をどうして残さないのか」。関係団体に問い合わせ、残してほしいと訴えた。近隣住民の武田加代子さん(59)も「七里のシンボルともいえる桜。寂しいし、もったいない」と嘆く。
七里駅は橋上駅舎化が計画され、2023年度の完了を目指して南北自由通路が整備される。それに伴い、3本の桜の木がある駅北側でも区画整理が進んでいる。
市区画整理支援課によると、撤去の看板を出して以来、市民から「切るのは残念」など、数件の問い合わせがあったという。同課は「あれだけ大きな木で動かすのも難しい。桜の木は伐採の方向で進んでいる」と話す。
施行者のさいたま市七里駅北側特定土地区画整理組合でも、木の移植スペース確保が難しいことなどから伐採し、その場所に道路を整備する予定という。
井上さんは残すことを前提に、桜をシンボルにした七里駅前広場の整備を望んでいる。今後は桜存続のため、署名活動も検討している。「貴重な自然を最大限生かした緑豊かなまちづくりを。将来のために1本でも桜の木を残してほしい」と話している。