埼玉新聞

 

批判続々…新アリーナ建設へ、住民ら「いらない」 次世代型スポーツ施設を予定も「一方的」「だまし打ち」

  • 5千人規模のアリーナ施設整備について、さいたま市が開催した地元説明会=25日夜、さいたま市中央区の鈴谷公民館

    5千人規模のアリーナ施設整備について、さいたま市が開催した地元説明会=25日夜、さいたま市中央区の鈴谷公民館

  • 5千人規模のアリーナ施設整備について、さいたま市が開催した地元説明会=25日夜、さいたま市中央区の鈴谷公民館

 さいたま市は25日、中央区の与野中央公園内に収容人数5千人規模のアリーナ施設を建設する計画の地元説明会を鈴谷公民館で開催した。市は丁寧に説明して市民の意見を踏まえ、必要な施設として計画を推進すると説明。住民は「アリーナは必要ない」「意見を聞いてほしい」と訴えた。

 所管する市スポーツ政策室が主に説明した。説明によると、市民の健康で心豊かな暮らし、コミュニティーの活性化、地域経済の活性化への取り組みが不可欠とし、「みるスポーツ」「するスポーツ」の拠点として整備する。サブアリーナは、老朽化した与野体育館の後継で、同規模を計画している。

 旧与野市の1988年度から、同公園の整備計画は進められ、段階的に検討。市は次世代型スポーツ施設として、5千人規模のアリーナが必要と判断したという。説明会では、市民らの意見を踏まえ、可能な限りコンパクトな施設整備を目指し、周辺環境への影響に配慮して計画を進める意向を示した。

 説明会には住民ら約60人が参加。「メインアリーナはいらない」「緑豊かな公園が整備されると思っていたのに、だまし打ち」「財政問題、交通問題、騒音問題はアリーナ建設のために起きている」「市民と協働で進めないのか」などの質問や意見が出た。

 同公園近くに住む鴻巣真佐江さん(79)は、旧与野市が1989年8月に実施した地元説明会の資料を持参。図面には草原広場やスポーツ広場が記載され、多目的アリーナは比較的小さく表示されている。鴻巣さんは「旧与野市の時は丁寧な説明があった。市の規模が大きくなり、一方的な話で終わっているような気がする。市民が一生懸命、まちを良くしようと考えているのだから、もう少し意見を聞いてほしい」と訴えた。

 清水勇人市長は26日の定例会見で、記者の質問に対して、「説明会で丁寧に説明をし、時間の許す限り、ご質問にお答えしたと所管から報告を受けている。反対や心配の声も多数いただいているが、市の将来を見据えた時に必要な施設と考えている。その意義を丁寧に説明しながら、施策を前に進めていきたいと考えている」と述べた。

 市は昨年5月、次世代型スポーツ施設の方向性を決め、同年12月に「(仮称)次世代型スポーツ施設基本計画(案)」を決定した。今年3月に地元説明会を2回開催。5月に基本計画を公表した。5千人規模のアリーナは、バスケットボールのBリーグなどプロスポーツ興行への利用を想定している。地元の住民が市民団体を立ち上げ、アリーナ建設反対を訴え、署名活動を展開している。
 

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