<新型コロナ>無料で生徒らに弁当100個配布、さいたま割烹「山水」 感謝しきれぬ親、生徒からお礼手紙
小中学校などの休校が続く中、さいたま市北区日進町のすし割烹(かっぽう)店「山水(さんすい)」は幼児から高校生までを対象に「子ども支援弁当」を日々無料配布している。新型コロナウイルス感染拡大防止のため市内公立学校が休みに入って間もない3月10日から、店舗定休日の木曜日を除く毎日実施。短縮営業の合間に弁当づくりに腕を振るう店主の関根利明さんは「子どもたちを元気にしたい。日々の献立に苦心している保護者、家庭の助けにもなれば」と思いを口にする。
27日午後3時すぎ。同店裏の仮設テーブルの前には母親と一緒にやって来た女児の姿。氏名を告げると、前日に渡していた、本人の名前が書かれた弁当箱が手渡され、女の子は「ありがとう」とにっこり。「早めに食べてね」と手渡す関根さんらスタッフの表情も自然と和らぐ。
この日はメンチカツ、春巻きを添えたのり弁当を約50食用意。氏名を書いた弁当箱を持参すれば、翌日午後3時前後に無料で弁当を受け取れる。当初は店が容器も用意していたが、ごみ削減も考慮し、弁当箱持参方式に変更した。関根さんは「店頭で無料配布を始めたら口コミで広がり、100食以上配布した日もあった」と振り返る。
チャーハン、唐揚げ、天ぷら、ギョーザをはじめ、時にはマグロステーキや、サーモンとイクラのちらしずしなど和食店ならではの本格メニューも。「ありがたいことに、近所や県外からも多くの食材提供を頂いた。毎日違うメニューにこだわっている」と関根さんは話す。
弁当を受け取った竹垣雄史君(10)、圭悟君(8)の兄弟は「毎日が楽しみ」「天ぷらがおいしかった」と元気いっぱい。2人の母親は「何より子どもたちが喜んでいる。毎日違うメニューで魚なども多く、家事も助かってます」と感謝し切りだ。
関根さんは「最初は話せなかった子から『ありがとう』と言われたり、お礼の手紙を頂いたり。厳しい状況下でもうれしいことはある」と強調。「緊急事態宣言解除後も続けたいが、気温上昇で食中毒の危険が高まるため、弁当配布は5月31日で終了。しかし、土日を中心に、ゼリーやアイス、冷凍コロッケなど在庫食材の無料配布は続けていきたい」と話している。