埼玉新聞

 

<新型コロナ>秩父の観光スポットに大勢の観光客 人出増え、第2波に懸念「安心半分、不安も半分」

  • 大勢の観光客でにぎわいを見せる岩畳=30日午後1時35分ごろ、長瀞町長瀞

  • 女性白バイ隊員(右)から啓発品を受け取るライダー=30日午前11時ごろ、横瀬町芦ケ久保の道の駅果樹公園あしがくぼ

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が解除され、初めての週末を迎えた。観光地として知られる秩父地域や川越では、店の再開や久しぶりの遠出に笑顔を見せながらも、再び感染が広がらないよう気に掛ける声が聞かれた。

 秩父地域では30日、観光スポットに大勢の観光客が集まり、にぎわいを見せていた。久しぶりに営業を再開させる店もあり、コロナ前の活気ある日常が戻ってきたが、感染リスクを懸念する声も聞かれた。

 横瀬町芦ケ久保の道の駅果樹公園あしがくぼは全施設が臨時休業中だったが、駐車場は大勢の車やバイクが集まっていた。桶川市からバイクで訪れた会社員橋本里恵子さん(42)は「バイクを買ったばかりで、慣らし運転で来た。天気も良く、すごく気持ちが良かった」と笑顔を見せた。

 秩父署は30日、休日に多数のバイクが立ち寄る同道の駅で、バイク対象の事故防止啓発活動Wプロテクト作戦を実施。同署によると、今年の県内のバイクによる交通事故死者数は、27日時点で前年同時期より5人多い14人で、同署管内でも4月に同道の駅付近で死亡事故が発生している。

 同署署員と県警交通機動隊女性白バイ隊(SKIP)は身体を保護するヘルメットやプロテクターの重要性を説明し、エアバッグの作動を実演。ライダーに啓発品も配布して、バイクの事故防止を呼び掛けた。同署の石山隆署長は「速度を落として安全運転に努めてもらいたい」と語った。

 長瀞町の岩畳周辺も観光客が多数見られ、名物の船下りなどを楽しんでいた。岩畳付近の商店街にあるそば店「むらた」は30日から営業を再開。緊急事態宣言が発令された4月7日から休業していた。同店を営み、町観光協会の会長も務める村田光正さん(59)は「こんなに休んだのは初めて。お客さんは多いけど、久しぶりで疲れるね」とうれしい悲鳴を上げた。

 一方で、一気に人出が増えたことで、新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、「第2波」の到来を懸念する人も。商店街で土産店を営む男性は「まだ安心半分で不安も半分。観光客はマスクをしている人が多いけど、やはり感染の心配はある」と話していた。

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