埼玉新聞

 

祖母と守る「世界一のもつ煮」 遠方からのファンも多い県道沿い、昔ながらの店 熊谷の「大衆食堂 百万石」

  • 名物のもつ煮定食を提供する加賀崎翔也さん=埼玉県熊谷市佐谷田の「大衆食堂 百万石」

    名物のもつ煮定食を提供する加賀崎翔也さん=埼玉県熊谷市佐谷田の「大衆食堂 百万石」

  • 名物のもつ煮定食を提供する加賀崎翔也さん=埼玉県熊谷市佐谷田の「大衆食堂 百万石」

 埼玉県熊谷市佐谷田の県道128号沿いにある「大衆食堂 百万石」。名物は「もつ煮定食」(730円)で、遠方から通うファンも多い。看板には「世界一のもつ煮」と記され、強いこだわりを持っている。同店の若き後継者となる加賀崎翔也さん(24)は「受け継がれてきた伝統の味を守っていきたい」と意気込む。

 加賀崎さんは同市出身。元々は教師を夢見ていたこともあり、高校卒業後、いったんは大学に進学した。しかし、家業を継ぐ人がおらず、「自分がやるしかないと思った」と大学を中退して市内のイタリア料理店で約2年半修業。祖母である美津江さん(78)が営む食堂に戻ってきた。

 同店は1980年創業の老舗。昔ながらの食堂で、特に職人やトラック運転手などから人気を集めてきた。美津江さんとは方針の違いなどがあり、頻繁に衝突した。新たなことに挑戦したい加賀崎さんと伝統を大事にする美津江さんは意見が合わず、けんかが絶えなかった。しかし、一晩過ぎればすぐに仲直りし、協力しながら店を営んでいる。

 看板商品のもつ煮は加賀崎さんが担当。下処理を丁寧に行いながら、もつの状態を見極めて煮込む時間を変えたり、細心の注意を払っている。加賀崎さんは「適当な仕事はしたくないし、もつ煮はこの味を守っていかなければならない」と改めて決意を語る。

 伝統の味を重んじる一方で、トイレを改装したり、11月にはもつ煮定食などのメニューを50円引きで提供を予定しており、新たな挑戦にも意欲的に取り組む。「トイレはずっと修理したいと思っていて、最近はサラリーマンや女性客が増えてきた。またどこでも値上げばかりなので、逆に値下げしたら面白いのでは」と笑顔で話した。

 加賀崎さんは9日午後8時から放送されるコミュニティーFM「FMクマガヤ」の「須永公人の週刊フードラボ」に出演する。

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