<川口いじめ>市教委の答弁は虚偽では?証拠揃えた市議が精査求めるも…自公の賛成多数で精査しないことに
川口市議会は11日、市立中学校でいじめ被害に遭い不登校になったのは学校と市教委の対応が不適切だったとして、男子元生徒(17)が市に損害賠償を求めてさいたま地裁で係争中の裁判を巡り、市側の主張について議事に取り上げられた。質問した木岡崇市議(川口新風会)が「教育委員会の答弁に虚偽があり証拠の音声を提出できる」と精査を求め、議会は紛糾。同日夜の議会運営委員会で「議会で判断するのは困難」として、自民、公明の賛成多数で精査しないことを決めた。新風会、共産、青嵐会などは精査を主張した。
元生徒は2015年に入学、2年生の16年9月にいじめを苦に自傷行為を起こし、不登校になった。18年3月に市の第三者調査委は「法律上のいじめと認定できる行為があり、不登校の主たる原因と考えられる」と認定した。
17年3月、校長らが元生徒らへの支援体制を作成し、元生徒は3年生の新学期から登校を始めたが、支援は実行されなかったと元生徒側は主張している。
質疑で、木岡市議は「支援体制はどのように取ったのか」と質問。森田吉信学校教育部長は「全校生徒に対するいじめ防止の指導、教職員に対する研修会、元生徒に対する1対1の補習、進路への情報提供、保護者向けの情報モラル教室などを17年4月から学校全体で行った」と答弁した。
また、同市議は裁判で市が「母親が学校による事情聴取を禁じたため元生徒に話も聞けず、会えなかった」と主張している点について、改めて市の認識を質問。森田部長は「保護者から部活内でのトラブルがあったとの訴えがあった時から現在まで、直接、元生徒本人との事情の聞き取りができたことはない」と答弁した。
この二つの答弁について木岡市議は「虚偽である。当時の音声記録を提出できる。精査してほしい」と要望し、議会は紛糾した。同市議は「学校全体の支援体制だったというが当時の担任教諭が支援体制のことは知らなかったと証言している」と指摘。さらに「(自傷行為の直後の)16年10月に担任教諭が元生徒に面談し、11月には校長と担任が面談した音声記録がある」とした。
元生徒側によるとこの際、校長は加害者の氏名を確認し、いじめの事実確認をした上で「指導不足で申し訳なかった」と直接、元生徒に謝罪もしていたという。
元生徒の母親で、市民団体「プロテクト・チルドレン」代表の森田志歩さんは「市議会は行政を追及し、ただすべき場であるのに、市議会は市教委の明らかな虚偽答弁を精査することもせず、議会としての機能を果たしていないと思う。強い憤りを感じる」と話した。