<新型コロナ>4割の子が1日1食、休校中に給食なく 貧困世帯を調査 勉強ゼロ、ゲーム17時間も
貧困世帯の学習支援を続ける「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」代表理事の白鳥勲さんが13日、新型コロナの影響を受けた子どもの貧困について講演した。白鳥さんは学校給食がなく、4割の子どもたちが1日1食の生活を強いられたなどの事例を報告。格差が歴然と現れた3カ月を説明した。
講演は大東文化大学教職課程センターが企画。将来、教職員を目指す学生向けの講演を市民に公開し、ウェブ会議システム「ズーム」を使用し行われた。
子ども・若者支援ネットワークは全国に先駆けて2010年から県内で貧困世帯の子どもの学習や生活を支援する「アスポート事業」を展開。大学生や退職教諭らが関わり、子どもたちの学習支援に当たっている。
白鳥さんは埼玉県内公立高校の教諭を約40年務め、退職後にアスポート事業の代表を務めている。白鳥さんによると、現在小学生から高校生まで約1700人の児童生徒を対象に、県内の74カ所で学習支援が行われているという。
■子どもたちが痩せた
講演の冒頭、白鳥さんは臨時休校中の子どもたちの生活を「家庭の教育力、経済力、親の精神的余裕や近所の人とのつながり、いろいろな差が歴然と現れた3カ月だった」と端的に説明した。
白鳥さんは事業を通じて実施した130人以上のアンケート結果を報告。休校中に4割近くの子どもたちが1日1食だったり、1日の勉強時間がゼロだったことが分かった。白鳥さんが最も心配していた食事は給食がなくなったことが大きな影を落とし、「給食で栄養を補っていた子どもたちが痩せた」という。
アスポート事業はマスクや消毒など感染予防を徹底しながら家庭訪問。食材を届け、家に入れない世帯では玄関前で学習を支援し、子どもたちから喜ばれたエピソードを紹介した。
白鳥さんは子どもたちの心境に寄り添い、「子どもたちは何がしたかったかというと、友達や先生とのおしゃべり。無駄なおしゃべりができないことがものすごいつらかった」と説明。「"不要不急"のおしゃべりの大切さを改めて実感した」と語った。
■オンラインは1割未満
家庭内ではトラブルが増加。ゲームに割く時間が増えるなど生活が不安定になったケースを上げた。「子どもがゲームを17時間続けている」と親から相談を受けたこともあった。
また学校がオンライン学習を促進する中、アスポート事業でも子どもたちにオンライン学習を呼び掛けた。ところが通信環境や機器がなく、支援する大人がいない状態で、可能な家庭は1割に満たなかったという。
白鳥さんは学校再開に向け、家庭や地域の支援の拡充、大人が子どもと丁寧に対話することなどを強調。学校が登校人数を半分にした分散登校の取り組みを例に、少人数教育の重要性を訴えた。
「(分散登校の授業について)子どもたちに感想を聞くと『本当に分かりやすい』という答えが返ってくる。今こそ少人数学級が必要で、何らかの方法で教員を増やすべきだ」と述べた。