部活動の実績など、調査書→「自己評価資料」に…埼玉県公立高の入試改善案 現小6が対象、県民から意見募る
埼玉県教育委員会は16日、県公立高校入試方法の改善について素案を公表した。2027年度入試から全受験生に自己評価資料の提出を求め、各校で実施の有無を判断していた面接を全校で導入する方針。学識経験者などで構成される22年度入試改善検討会議の提言を受け、県教育局や学校関係者の協議会が検討し取りまとめた。県教委は17日から県民コメントを募り、意見を考慮した上で策定する。
新しい入試では、これまでの学力検査と中学校などが作成する調査書による共通選抜に加えて、受験生が学校内外での活動や意欲を自らの言葉で表現する自己評価資料の提出を求め、資料を基にした面接を実施する。
自己評価資料自体は評価の対象にせず、面接で受験生の意欲などを評価。各校が実施の有無を判断する実技や小論文、特定教科の配点を高くする傾斜配点といった独自検査と合わせて合否を判断する。
県教委が公表した「県公立高等学校入学者選抜方法の改善について(素案)」では、改善の必要性として、(1)新しい学習指導要領の趣旨を踏まえた入学者選抜の実現(2)各高校の入学者の受け入れに関する方針に基づく入学者選抜の実現(3)部活動の地域クラブ活動への移行などにより、生徒の学校内外における活動の多様化に応じた入学者選抜の実現―を示した。
新学習指導要領は「知識および技能」「思考力、判断力、表現力など」「学びに向かう力、人間性など」の三つの能力をバランスよく育成することが求められている。県教委は自己評価資料に基づいた面接で表現力などを検査したい考えだ。
自己評価資料の導入に併せて、調査書の様式を整理し、部活動などの特別活動記録や出欠席の記録は記載事項から除外。調査書は学習の記録(評定)の記載を基本とする。
生徒の学校内外の活動が多様化し、調査書を作成する教諭が生徒一人一人の校外での活動実績を把握することが困難になったことから、特別活動の記録については自己評価資料で補う。出欠席の記録はコロナ禍以降、皆勤賞などに特別配点する学校がなくなったことから除外した。
面接選抜はこれまで独自検査の一つとして行われ、23年度入試では全日制60校、定時制21校で実施された。
新入試は27年度から導入され、現在の小学6年生が受験予定。移行期間として26年度入試を設定し、現行入試の中で、調査書の部活動などの実績の記入について見直すとしている。
素案への県民コメントは11月17日まで募り、郵送、ファクス、メールで提出できる。素案資料、意見の提出方法の詳細は県ホームページへ。