1470億円不足見込み「極めて厳しい」 危機対応、社会保障、行財政改革…2024年度埼玉県予算方針を発表
大野元裕知事は17日の定例会見で、2024年度埼玉県予算編成方針を発表した。各部局に示され、24年度の予算編成が本格化する。ポストコロナ社会において経済活動の正常化が進む中、新たな行政課題への対応が求められる。現時点での一般財源ベースの不足見込みは1470億円。大野知事は「変革を求めるニーズはこれまで以上に高まっている。あるべき姿からさかのぼる手法により、課題の本質を捉えた中長期的な施策を展開したい」と述べた。
予算編成では三つの基本方針を掲げた。一つ目は「歴史的課題に対応した未来志向の施策展開」で、人口減少、超少子高齢社会の到来や頻発化・激甚化する災害、さまざまな危機への対応などに対し、生産性を高めることで新たな価値やサービスを創出するとともに、危機対応能力を強化することで課題解決を図る。
二つ目は「『日本一暮らしやすい埼玉』の実現に向けた取組の深化」。県5か年計画で定める将来像を見据え、社会・経済・産業・自然・人材など、あらゆる分野で持続的な発展を可能とする施策を推進する。中間年度を迎える5か年計画について、PDCAサイクルに基づく検証・改善により、将来像の実現に向けた取り組みを深化させる。
三つ目の「DX(デジタルトランスフォーメーション)を前提とした不断の行財政改革の推進」では、これまで取り組んできたDXの成果を生かしつつ、業務効率を高める取り組みを進める。新たな財源の確保、事業レビューの取り組みによる新陳代謝の促進など、歳入・歳出両面から不断の見直しを行う。
歳入見込みは、景気の動向や企業業績を踏まえた県税収入の増加を71億円と予想し、今年度当初予算より106億円増の1兆6186億円。歳出は定年延長に伴う退職手当の増額や社会保障関連経費の増加などにより579億円増の1兆7655億円。差し引きでは1470億円の不足が見込まれ、21年度予算編成時の1475億円に次いで2番目に大きい。
大野知事は「前年度と比較して歳入はほぼ横ばい、歳出は社会保障関連が増加するために要調整額が拡大した。不透明な景気動向を注視する必要がある中で、財政状況は極めて厳しいと評価せざるを得ない」と述べた。