埼玉新聞

 

休校期間中に笑顔つなぐ活動 越谷の高校生ら、手作り布マスクを製作 地元保育園などへ配布を予定

  • 服飾デザイン科の生徒たちが作ったカラフルな布マスク=県立越谷総合技術高校

  • 完成した布マスクを学校に届ける松山健さん(左から2人目)と美涼さん(同1人目)=県立越谷総合技術高校

 「笑顔の連鎖が広がりますように」―。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、県立越谷総合技術高校服飾デザイン科の2、3年生50人が休校期間中に手作り布マスクを製作した。草加市の松山健さん(41)と妻の美涼さん(43)の呼び掛けで始まった「egao tsunagu project(笑顔つなぐプロジェクト)」の一環で、活動の輪が広がりを見せている。

 きっかけは松山さんの長女で同校に通う有凛さん(16)に休校期間中の時間を有効に使ってもらおうと、美涼さんがマスク作りを提案したことだった。最初は有凛さんと友人数人の間で取り組むことを考えていたが、同校に話を持ち掛けたところ学校側も賛同し、4月末ごろからプロジェクトが始動した。

 プロジェクトには地元企業なども賛同。松山さんの勤務先で塗装工事などを手掛ける「アークス」(草加市)と、美涼さんが勤める「ワークマン草加1丁目店」が全面的に協力して材料の調達など準備が進められた。草加市社会福祉協議会からも布の提供を受け、同校服飾デザイン科の教員が作った型紙を基に裁断した「布マスク制作キット」を自宅で過ごす生徒たちに郵送した。

 生徒たちは自宅で1人10個マスクを製作し、全部で約500個の布マスクを完成させた。作品を手に取った同校服飾デザイン科の加藤ユミ教諭は「とてもよくできていると感心し、感動した。生徒たちが思いを込めて作ったのが、作品を見るだけで伝わってきた」と話していた。

 布マスクを製作した有凛さんは「マスクを作ったのは初めてできれいにできるか不安だったが、一生懸命作ったので大切に使ってほしい」。八木下由菜さん(17)も「作るのは大変だったけど、作り終わった時に達成感を感じた。たくさんの人に使ってもらえればうれしい」と笑顔を見せていた。

 生徒たちが作ったマスクは消毒作業を行い、プロジェクトのロゴマークを貼り付けて地元の保育園や飲食店、企業などへの配布する予定。松山さんは「何もできないではなく、自分の小さな行動が誰かを笑顔にしてそれをつないでいくことができることを生徒たちに感じてもらいたかった」と思いを込めて話す。

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