大宮のキャバクラでクラスター、南銀落胆 客足途絶え…休業要請中に逆戻り【#コロナとどう暮らす】
さいたま市大宮区の接客を伴う飲食店(キャバクラ)で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、別のキャバクラでも3人の感染が判明した。店舗があるのはいずれも大宮駅東口の南銀座通り(南銀)。緊急事態宣言の間は客足が途絶え、6月に入り活気を取り戻そうとしていただけに、地元からは落胆の声が聞かれた。
■休業要請中に営業も 接客の女性、マスク着けず
県内随一の繁華街「南銀」の元気を復活させようと、「大宮南銀座商店会」は6月15日、感染予防対策の報告と会員への支援金贈呈式を行った。マスク着用や消毒の徹底、体温測定、3密を避ける座席対策などの対策に努めるとし、南銀を訪れるよう呼び掛けていた。しかし、クラスターの発生した店は、商店会の会員ではなく、県が休業を要請した時期も営業を続けていたという。消毒などは行っていたとされているが、接客の女性従業員はマスクを着けていなかったという。
60代の女性は南銀にあるビルで早朝から清掃をしている。女性によると、休業要請中も営業を続けていたキャバクラなどの飲食店は多かった。女性は「朝の7時すぎまで、外で大声で歌うなど、騒がしかった。あまりのうるささで、警察に通報しようと考えた時もあった」と振り返る。
休業要請が解除され、商店街は少しずつにぎわいが戻りつつあったが、集団感染が起きたことで、ここ2、3日は人通りの少ない街に逆戻りしたという。女性は「さすがに今は自粛している店も多い。以前のような街に戻るのは、まだ先」と肩を落とした。
■消毒液を使わない人「多くなった」
男性の飲食店主は「クラスターの報道以降は、夜のお客さんがさらに減った」と打ち明ける。一時休業も検討したが、「経営を考えると店を閉めるわけにはいかない。今できることは安全対策を徹底して、お客さんにおいしい食事を提供すること」と切り替えていた。
40代の女性飲食店員は「業種は違えど、明日はわが身かもしれないので、店側を責めることはできない。各自が気を付けるしかない」と話していた。
大宮区の男性(74)は「緊急事態宣言の解除以降は、マスクをしていない人が徐々に増えた」と感じている。6月に入り、大宮駅東口付近に集まる若者がマスクなしで会話をしている光景をよく目にするという。「店の入り口に置かれた消毒液を使わない人も多くなった。気が緩むと、ますます街に感染者が出てしまう」と心配していた。