埼玉新聞

 

試験の得点アップ、美しい字で 得点できたと思っても採点者が読めずに…学習塾が硬筆テキストを考案

  • 硬筆の課題に取り組む生徒=さいたま市見沼区の早明ゼミナール大和田校

 子どもたちの試験の得点力を上げようと、県内6教室を展開する学習塾「早明ゼミナール」(本部=さいたま市見沼区)は、通塾する生徒を対象に、5月から授業前に硬筆の時間を設けている。

 きっかけは、試験の記述問題の得点に、子どもたちの自己採点と実際の得点で誤差が生まれていることだった。「生徒自身が得点できたと思っている場合でも、採点者は字を正確に読めず、得点できていないケースを数多く見つけてきた」と同塾の狩行久幸氏。妻の美絵さんとともに課題解決のため、書道家の金田石城氏に相談し、オリジナルの硬筆のテキストを考案した。

 「(文章を建築になぞらえて)1本1本の材木をしっかりさせることをイメージし、書を生かすことにこだわった」と金田氏が語るテキストは、短時間でも集中して美文字を習得できるよう1度に練習する課題の文字数が短いのが特徴。生徒らは、(1)課題の文字の手本に沿って字を書く(2)手本のなぞり書き(3)練習(4)提出―の工程を実践していく。

 提出した課題は、出来に応じて全日本書道芸術院認定の級が与えられる。美絵さんは、「子どもたちの自己肯定感を高めるのも私たちの使命。字がきれいになったことで子どもたちが自分に自信を持てるきっかけにもつながれば」と話している。

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