<新型コロナ>病床確保、再び要請 東京都由来や夜の街での感染例増…大野知事「必要なら宣言発出を」
大野元裕知事は5日、新型コロナウイルスで入院する感染者が3日時点で100人を超えたとして、感染者用の病床確保を県内の医療機関に再び要請したことを明らかにした。現状の240床から420床に増やす。新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言には「必要な場合は宣言の発出を求めたい」と述べ、感染が急激に拡大する際には楽観的になるべきではないとの認識を示した。西村康稔経済再生担当相と千葉、神奈川両知事とのテレビ会議後、記者団に語った。
埼玉県は最大で602床を確保していた感染者向け病床を、6月時点で240床にまで縮小している。感染者の増加に伴い半数の120床が埋まった場合、協力を解除した病院に対し再度、病床の確保を要請するとしていた。再拡大すれば1週間程度で600床まで戻せるが、現状では420床とした。知事は「再拡大を抑止するために、施策を講じなければならない時期になった」と述べた。
知事は国や他の自治体でも運用が始まったコロナウイルスの接触確認アプリについて、通信アプリのLINE(ライン)を活用した「埼玉県LINEコロナお知らせシステム」を埼玉県独自に10日から運用することも明かした。
一方、西村氏らとのテレビ会議は東京都で100人以上の感染が連日確認されているほか、埼玉を含む3県で感染者数が増加傾向になっている点などを憂慮し開かれた。東京の感染者の多くは接待を伴う飲食店との関係が指摘されていることから、飲食店の協力を得ながら連携して対策を強化することを確認した。
西村氏は都内での感染者の増加について「高い緊張感をもっている。警戒する必要がある時期だ」との見解を示す一方、医療体制が現状では逼迫(ひっぱく)していない点などを踏まえ「すぐに緊急事態宣言を出す状況でない」との考えを示した。
その上で接待を伴う飲食店への対策を徹底する必要性を指摘。PCR検査を含めた検査体制を拡充していく意向を伝えた。
大野知事は埼玉の感染状況について、「東京都由来」のほかに「さいたま市内でも夜の街での感染例が増えている」などと説明。「国や他都県などと緊密に連携し、拡大防止策に取り組む」と呼び掛けた。