埼玉新聞

 

埼玉注目、戦略的に重要な場所 GDP世界5位になる可能性の日本、埼玉が日本海・太平洋側を結ぶ“起点”に

  • 記念講演を行う寺島実郎氏=25日、さいたま市浦和区

    記念講演を行う寺島実郎氏=25日、さいたま市浦和区

  • 記念講演を行う寺島実郎氏=25日、さいたま市浦和区

 暮らしの問題などについて考える埼玉県消費者大会が25日、さいたま市浦和区の埼玉会館で開かれた。生活協同組合など県内の消費者団体の会員ら380人が会場やオンラインで参加。日本総合研究所の寺島実郎会長が「世界と日本のこれから わたしたちのくらしを考える~消費者・市民としてどう行動するか~」と題して記念講演を行った。

 寺島氏は世界に占める日本の国内総生産(GDP)のシェアがピーク時の1994年の18%から22年には4%まで縮小したことなどを挙げ、「健全な危機感を持つべき。日本はドイツだけではなくインドにも抜かれGDP世界5位になるのは間違いない」と予測。シンガポールなどに大きく差をつけられている1人当たりGDPでも台湾や韓国に抜かれるとの見方を示し、「まだ日本がアジアの先頭を走っているというのは錯覚」と厳しい言葉で表現した。

 一方で、増大し続ける米中貿易の影響で日本海側の港では外資コンテナ貨物量が増えていると指摘。日本海物流など「アジアダイナミズム」が今後の日本の経済成長の鍵になるとした上で「埼玉は重要かつ戦略的なロケーション。日本海側と太平洋側の対流の起点として生かせる」と県に注目を寄せた。

 また、日本社会の高齢化に世界の注目が集まっているとし「かつてのサラリーマンが高齢化し、退職してバラバラになり首都圏を取り巻いている」と説明。高齢者がどのような「結節点」を持つかが今後の社会の行く末を握るとして「高齢者と女性の活躍が日本の変革の鍵」と話した。

 大会では、ジェンダー平等や教育の課題などのテーマに関する県への要請が報告され、核軍縮や外交努力での平和実現などを求める大会アピールが採択された。
 

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