埼玉新聞

 

立てこもり男、バイク同士の接触事故…過去に郵便局員と 液体入りポリタンクとライター、刃物2本も準備「話したかった」当時の郵便局対応に不満か 自宅アパート放火、病院銃撃も認める 路上に転がる薬きょう

  • 確保後の男を乗せた車両が蕨署に入る様子=10月31日午後10時46分

    確保後の男を乗せた車両が蕨署に入る様子=10月31日午後10時46分

  • 確保後の男を乗せた車両が蕨署に入る様子=10月31日午後10時46分

 蕨市の蕨郵便局で10月31日、男が拳銃を持って女性局員2人を人質に立てこもった事件で、県警は同日夜、人質強要処罰法違反の疑いで、戸田市新曽、無職の男(86)を逮捕した。男は同日起きた戸田中央総合病院の銃撃や市内の自宅アパートへの放火も認めている。捜査関係者によると、郵便局に「交通事故を巡るトラブルがあった」という趣旨の供述をしており、県警は立てこもりに至った詳しい経緯や動機を調べている。

 逮捕容疑は31日午後2時15分ごろ、営業中の蕨郵便局に侵入。拳銃を使って郵便局員を人質にするなどした疑い。

 捜査1課によると、事件発生は局内には20代と30代の女性職員2人が取り残されていたが、男は午後7時17分に20代の職員を解放。同9時4分には30代の職員が隙を見て逃げ出した。いずれも外傷はなかった。県警は同10時20分に特殊班などが突入して取り押さえた。男は拳銃1丁のほか、複数の銃弾も持っていたという。

 現場からは包丁のような刃物2本のほか、10リットルと18リットルのポリタンクに入った液体、ペットボトル2本に入った液体が押収され、複数のライターも見つかった。県警は液体の成分を調べている。

 男は「郵便局の人と話がしたかった」「逃げ遅れた人を人質に取った」と供述。捜査関係者によると、過去に男は郵便局員とバイク同士の接触事故を起こしており、県警は当時の対応への不満が犯行動機につながった可能性も視野に捜査している。

 立てこもる約1時間前の同日午後1時15分ごろには、郵便局から南に約1・5キロ離れた戸田中央総合病院が2発銃撃される事件があり、診察中の40代の男性医師と60代の男性患者が負傷した。直前の午後1時ごろには、戸田市新曽の男の住むアパートが全焼する火災があった。

 男は病院への発砲を認め、火災についても「自宅に放火した」と供述し、いずれの関与も認めている。

 県警は1日、病院と郵便局を現場検証。病院前の路上と局内で二つずつ計四つの薬きょうが見つかっている。2日に男を人質強要処罰法違反と建造物侵入容疑でさいたま地検に送検する方針。
 

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