駐車場→「鉄道のまち」発信拠点に…桜木駐車場の用地活用、事業者が決定「大宮の存在感を増大させる」提案
埼玉県さいたま市は2日、市営桜木駐車場(大宮区桜木町)の用地活用事業者について、大和ハウス工業北関東支社(中央区)、大和ハウスリアルティマネジメント(東京)とJR東日本(東京)が10月31日付で正式に優先交渉権者に決定したと発表した。提案されたのは、商業棟やオフィス棟など5棟から構成され、最上階は5階の複合施設で、「鉄道のまち大宮」の発信拠点とする内容が高く評価された。
市は桜木駐車場の敷地約2万7千平方メートルのうち、約1万8千平方メートルを年間1億3800万円で、事業者に貸し付ける。土地の引き渡しは2024年4月を予定し、貸付期間は35年で運営期間は30年。事業者は27年末の供用開始を予定している。市は残る約9千平方メートルの市有地に、広場や道路を整備するという。
有識者による選定委員会の審査講評では「鉄道博物館や大宮駅などの資源との連携や新幹線輸送を活用した東日本圏域との連携、特別な車両の展示の提案は、鉄道のまちとして発展してきた大宮の歴史と文化をさらに発展させる期待が高い」と評価した。市の公募には3者が応募し、プレゼンテーションなどで、同グループが300点満点で最高点の223・76点を獲得して選定された。次点の住友商事とは4・82点差だった。
市東日本交流拠点整備課は「鉄道は大宮の歴史と文化の形成に欠かせず、非常に愛着や親近感が湧く文化。東日本の対流施設や鉄道文化の新たな発信拠点として、大宮の存在感を増大させる提案と期待している」と話した。
桜木駐車場の土地は旧鉄道病院の跡地で、旧大宮市が1993年度に約240億円で購入した。複合公共施設の建設事業用地として取得し、暫定利用で市営駐車場の事業を開始。計画が進まないまま、旧3市合併でさいたま市が誕生し、約30年にわたり駐車場として継続的に利用され、「塩漬け」状態となっていた。