さいたまで「世界」体感…さいたまクリテリウム、レース以外も堪能 「夢のよう」視覚障害がタンデム車走行
自転車ロードの国際レース「2023ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム」は5日、JRさいたま新都心駅周辺で開催された。沿道には多くの観客が集まり、国内外のトップ選手の力強い走りを体感し、選手が通過するたびに拍手をしたり、選手の名前を呼んで熱い声援を送っていた。
オープニングセレモニーの後、選手紹介などが行われ、チームと個人によるタイムトライアルレースやパラサイクリングレースなどが行われた。さいたまスーパーアリーナをコースに含む1周約3・5キロを17周するメインレースには、トップ選手52人が出場した。
東京都国分寺市から家族4人で来た小学2年の明地結莉さん(8)は日頃から、ツール・ド・フランスをテレビ観戦しているという。優勝したタデイ・ポガチャル選手(25)=スロベニア=のファンで、初めて実際に見て「速くてかっこよかった」と楽しんでいた。
午前9時から場所取りをしたという埼玉県川口市の新見一樹さん(36)は「世界レベルの選手はなかなか見られるものではない。とても楽しかった」。ペーター・サガン選手(33)=スロバキア=が好きで、トップ集団で最後まで優勝を争い3位入賞し「とても熱いレースだった。絶対来年も来ます」と満足そうだった。
レース前には実際のコースを走る一般体験走行が行われ、市民ら約220人が参加した。清水勇人市長、大会アンバサダーのマルセル・キッテルさんも走行した。視覚障害者が今回初めて、タンデム自転車で参加。生まれつき視覚に障害のある水出智津さん(56)=さいたま市浦和区=は、自転車に乗ったのが約30年ぶり。「風が気持ちよく、スピード感が最高で、めちゃくちゃ楽しかった。街中を走れると思ってもいなかったので夢のよう。歓声を受け、ずっと手を振っていた」と笑顔だった。
川口市立十二月田小学校5年の蓮沼誠希さん(10)は今夏から、ロードバイクに乗り始めた。父親の英樹さん(53)に体験走行に参加したいと話し、父子でコースを1周した。ロードスーツを身に着けた誠希さんは「楽しみにしていた。気持ち良かった。もう1周走りたい」と話していた。
会場周辺では、自転車を楽しむ「サイクルフェスタ」、食がテーマの「さいたまるしぇ」が開かれた。埼玉新聞社は4、5日、JRさいたま新都心駅前などで、別刷り「さいたまクリテリウム特集」約6万部を無料配布した。