埼玉新聞

 

「集金袋」用の小銭不要に…川口の小学校がキャッシュレス化 ラインで通知、支払い方法は複数 負担軽減にも

  • 「LINE」経由でスマートフォンに届く埼玉県川口市立前川小学校の請求画面見本。保護者は支払い方法を自由に選択して支払うことができる

    「LINE」経由でスマートフォンに届く埼玉県川口市立前川小学校の請求画面見本。保護者は支払い方法を自由に選択して支払うことができる

  • 「LINE」経由でスマートフォンに届く埼玉県川口市立前川小学校の請求画面見本。保護者は支払い方法を自由に選択して支払うことができる

 埼玉県川口市内の小学校で教材費など学校独自の集金をキャッシュレス化する取り組みが進んでいる。児童が現金を持って登校せずに済み、教員が現金を扱わずに済むことなどから、紛失などの事故防止、教員らの業務負担の軽減につながると期待されている。

 川口市本前川の市立前川小学校では昨年度初めから、集金業務を自動化するプラットフォーム「enpay(エンペイ)」を導入している。これまで集金袋を使った現金集金か、指定金融機関を利用した口座振替としていた教材費や校外学習費、修学旅行費などの集金をキャッシュレスでできるようにした。給食費については市は2011年度から、市に支払う「公会計化」を導入しており、学校での集金は行っていない。

 同プラットフォームでは無料通信アプリLINE(ライン)を使い、学校が請求内容や金額などを保護者が登録した宛先に一斉送信して通知。通知を受け取った保護者はクレジットカードやコンビニ支払い、もしくは「PayPay」「LINEPay」「auPAY」の中から、支払い手段を自由に選択し、支払うことができる。

 この方法では児童が現金を学校に持参しないで済む、保護者がいつでも支払いができるなどの利点や、教職員が現金や保護者の口座情報を保管せずに済むといったメリットがある。銀行などの口座を持たない人もコンビニエンスストアで支払うことができる。これまで教職員が電話などで行っていた未納者への連絡も、ラインで簡単に再通知できることから、教職員の心理的な負担の軽減にもつながっているという。

 同校では約600人の児童のうち、ほぼ全員の保護者がこのキャッシュレス集金を活用。ラインを使っていない、アカウントを登録したくないといった保護者には、通知内容を紙に印字し手渡す対応も行っている。保護者からは「現金をおつりなしでそろえる手間が省ける」「請求から決済までの手間がかからない」といった歓迎の声が寄せられているほか、教職員へのアンケートでは「現金を扱わなくなり、負担感が減った」などの感想があったという。

 同校によると公立小学校での学校徴収金のキャッシュレスサービス導入は同校が全国初とみられ、市教委によると市内では「エンペイ」を導入したキャッシュレス化はこれまでに、同校を含め小学校10校で行われている。

 一方で集金額に応じたシステム利用料を現在は保護者が負担しているといった課題もある。市学校教育部庶務課担当者は「いいものと判断している」としつつ、今後のシステム活用拡大の可否も含めた調整を行いたいとしている。

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