埼玉新聞

 

営業中の店内にサリン、救護中に刃物…大規模テロ想定、加須で500人参加の訓練 消防、警察、DMATなど連携

  • 化学防護服を着用した消防職員、警察職員が負傷者の救出救助訓練を行った=埼玉県加須市琴寄のカインズ大利根店

    化学防護服を着用した消防職員、警察職員が負傷者の救出救助訓練を行った=埼玉県加須市琴寄のカインズ大利根店

  • 化学防護服を着用した消防職員、警察職員が負傷者の救出救助訓練を行った=埼玉県加須市琴寄のカインズ大利根店

 埼玉県加須市琴寄の民間商業施設カインズ大利根店で17日、サリン(化学剤)が店内に散布された大規模テロを想定した国民保護実動訓練が行われ、約500人が参加した。県と加須市の共催。例年、体育館やスタジアムなどで訓練を実施しているが、民間商業施設での訓練は2009年の越谷レイクタウン以来14年ぶり。

 訓練は、午後1時ごろから約2時間にわたり展開した。営業中の店内でサリンが散布されたという想定から始まった。化学防護服姿の消防署職員、警察職員らが買い物客の避難や救助、除染作業などを行った。また、救護活動中に刃物を持った不審人物が現れる想定の訓練も行った。

 訓練では、平成国際大学の学生20人が被災者役になり、サリンがまかれた周辺で次々に倒れ込んだ。さまざまな種類の化学防護服を着用した消防職員らがすぐに対応した。陸上自衛隊も加わり、負傷者の救出救助や有害物質の検知・採取を展開した。

 医療関係機関の連携も素早かった。埼玉DMAT(埼玉県済生会加須病院、埼玉医科大学総合医療センターなど)と日赤救護班の二つの異なる部隊が医療処置を実施した。陸上自衛隊第1特殊武器防護隊なども参加した。カインズの社員も一連の訓練に加わった。

 訓練終了後、大野元裕知事は「サリンをまかれたことを想定した訓練で、多くの機関が参加してくれ、真剣度も高く、有意義だった。平成国際大学の参加もよかった。カインズさんが実際に営業している状況で行えたことも意義深かった」と講評した。

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