埼玉新聞

 

盲目の中学教諭、ちちぶエフエムで平家琵琶を披露 今年はラジオでイベント「来年はムクゲが満開な時に」

  • 平家琵琶で平曲を披露した新井淑則さん=22日午後、秩父市中町の「ちちぶエフエム」

 盲目の皆野町立皆野中学校教諭、新井淑則さん(59)と、盲目の旅芸人「瞽女(ごぜ)」の芸を引き継ぐ広沢里枝子さん(61)が22日、埼玉県秩父市中町のコミュニティーFM「ちちぶエフエム」(周波数79・0メガヘルツ)に出演。新井さんが平家琵琶で平曲、広沢さんが三味線で越後瞽女唄を披露した。

 新井さんは同町出身。28歳の時に右目の網膜はく離を発症し、34歳で左目も失明し全盲になった。休職したが、県立秩父養護学校(現秩父特別支援学校)に復職。県立盲学校を経て2008年から長瀞町立長瀞中学校に勤務し、15年から母校の皆野中に異動して国語を教えている。

 広沢さんは小学校の3年間を同町で暮らし、町立皆野小学校に通学した。現在は長野県在住で、ラジオのパーソナリティーを務め、越後瞽女唄の演奏なども実施している。小学校の同級生である北川礼子さん(61)と再会をしたことを契機に、同町のムクゲ自然公園内の森のホールで新井さんと一緒にトーク&ライブを2年連続で開催していた。

 今年は新型コロナウイルスの影響で、ラジオでイベントを行うことに。生出演した新井さんは宮沢賢治の短編童話「オツベルと象」を朗読後、盲僧が平家琵琶を演奏しながら平家物語を語った平曲で、演目「扇の的」を披露。電話出演した広沢さんも越後瞽女唄で演目「正月祝い口説き」と「ねずみ口説き」、秩父音頭をアレンジした「秩父音頭佐渡おけさ」を披露した。

 新井さんは「来年はムクゲ自然公園でムクゲが満開な時に森のホールで開催したい」と話していた。

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