東武野田線・岩槻駅の東口周辺、オススメの魅力スポット紹介 電車の真上に国内でも貴重な神社が シンボルの大イチョウ圧巻、人気の古民家カフェも
東武野田線岩槻駅を降りるとコンコースの両側に町の名所がステンドグラスで描かれている。歴史的スポットが点在する岩槻の町。そこかしこに史跡が残り、角を曲がれば赤い鳥居や山門に当たる。建物の脇からのぞく見事な寺の屋根や大きな木々。見逃していた“ジモト”を新旧の結び付きや息づく継承を交え2回にわたり紹介したい。
駅東口から大構の上に立つ愛宕神社へ。車道には「丹過通り」の看板。町の随所に風情を感じる通り名が付いている。平山城であった岩槻城はその城下町を一緒に土塁で囲んで大構を築いていた。大構は高さ4メートル、幅8メートル、全長8キロにわたった。現存するのは国内でも貴重という。戦国時代の1587年ごろには造られ、廃城となる明治まで町を守ってきた。
同神社の社殿へは27段の階段を登る。社殿の裏に回るとそこが城を守る堡塁(ほるい)の上であることが分かり、真下を野田線が走る。春の「雛(ひな)めぐり」には階段いっぱいに人形を飾る。
丹過通りに戻り、日光御成道を通って岩槻小学校へ向かう。歩きながら見えていた大イチョウの頭部分がいったん消えた。学校に断り、校庭に入ると、児童が「大イチョウの前ね!」と言い合いながら走り、巨木の下へ竹ぼうきを手に集まった。校庭の真ん中に立つ同校のシンボルだ。
樹齢約150年、高さ27メートル。幹回りは5メートルあり、幹は根元近くから四方に分かれながら真っすぐに空へ伸びている。さいたま市と合併後の2007年同市の天然記念物に。10年には同市景観重要樹木第1号に指定された。町全体の象徴でもある。中島悟校長は「毎朝7時、登校してくると真っ先にイチョウを見上げ、あいさつする」とほほ笑んだ。
学校真向かいにある浄安寺の山門前には昭和初期に蓮田まで通っていた武州鉄道跡が残り、県道沿いには人形博物館がある。同道を隔てた大龍寺への参道を山門まで行き、左に曲がると大工町通り。名の由来は築城に携わった大工職人たちが住んでいたことから。通りのブロック塀に小さな入り口がある、くぐると懐かしい石畳と庭のある古民家カフェが迎えてくれる。
「niwasakicafeいわさ喜」。岩﨑景子さんと絵美華さん母娘で営むブックカフェで一服。「お好きな所へ、どうぞ」。お気に入りの場所を見つけて過ごせば時を忘れる。景子さんの作る、体に優しいカフェ風田舎ランチが人気。絵美華さんのデザートは甘さ控えめでおいしい。駅までは大工町通りを抜けて約7分で戻れる。
【メモ】niwasakicafeいわさ喜=正午~午後5時、日、月曜休み。電話048・689・3388