違うのは仕方ない、でも…大谷選手のグラブ寄贈、外国人学校などに「希望調査」なし メーカーは「検討中」
野球の米大リーグで活躍する大谷翔平選手が発表した子どもたちへのグラブ寄贈。スポーツ庁が教育委員会などを通じ全国の小学校や特別支援学校の配布希望を取りまとめているが、対象の公立・私立の小学校、義務教育学校、特別支援学校に含まれない朝鮮学校などの外国人学校やフリースクールには希望調査がなく、グラブが届かない可能性があることが1日までに分かった。配布を担当するニューバランスジャパン(東京都千代田区)の広報担当者は取材に「外国人学校やフリースクールについては、現時点では未定」と説明し、配布は検討中としている。
同社のホームページによると、寄贈されるのは小学校低学年用グラブ約6万個。対象の学校1校につき右利き用2個と左利き用1個の計3個で、12月から来年3月ごろにかけて順次配布される。
11月中旬、学校への希望調査を求めるスポーツ庁の通知を受け、埼玉県内の公立学校は県教委とさいたま市教委、私立学校は県学事課が調査を担当した。県教委は市町村教委に通知を送付。各教委が管轄の学校について希望を取りまとめ、それぞれスポーツ庁に報告する。さいたま市教委は市内の学校について一括して希望を報告するという。
一方、小学生の年齢の子どもが通う県内の外国人学校やインターナショナルスクール3校はいずれも、取材に対し、グラブ配布希望の調査などは受けていないと答えた。そのうち一校の関係者は「野球をやったことがない子もいるし、日本の学校と扱いが違うのは仕方がない。でも世界で活躍する人からグラブをもらえたら、野球や世界に目を向ける学びの機会になると思う」と残念がる。
さいたま市大宮区の埼玉朝鮮初中級学校の関係者は「プレゼントを要求するつもりはないが、除外されるなら理由を知りたい」と話す。朝鮮学校を巡っては、2020年に市内の学校に対する新型コロナウイルス対策のマスクの配布対象から当初除外され、後に一転して配布された経緯がある。別の関係者は「子どもたちからグラブを期待する声はまだ聞いていないが、有名な大谷選手の話題なのでそのうち耳に入るだろう。朝鮮学校には配られないとなれば、『またか』と思うのでは」と案じた。
県が把握し、ホームページ上で紹介している不登校などの子どもや保護者を支援する民間団体や施設は42件。うち、小学生を受け入れている団体、施設(一部の学年のみを含む)は34件ある。
大谷選手は11月9日、自身のインスタグラムに段ボールにグラブを詰めた写真を投稿し、「野球を通じて元気に楽しく日々を過ごしてもらえたらうれしい。このグローブを使っていた子どもたちと、将来一緒に野球ができることを楽しみにしています」とつづっていた。