児童生徒から意見聴取も…ネット上の誹謗中傷防止へ条例素案 さいたま市、全会派PTが決定 パブコメ募集
インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷による被害を防止しようと、埼玉県さいたま市議会の全7会派参加による政策条例検討プロジェクトチーム(PT)は1日、条例の素案を決定した。パブリックコメントを実施して市民の意見を踏まえた上で、来年の市議会2月定例会に議案を提出する。
名称は「市インターネット上の誹謗中傷等の防止と被害者支援等に関する条例」(通称・ネット安心条例)。同様の条例は政令指定都市で初めてで、来年4月の施行を予定している。県内では戸田市が条例案を発表している。
プロレスラーの木村花さんが、交流サイト(SNS)で誹謗(ひぼう)中傷されたことを苦に自殺した事件やネットいじめの問題を受け、PTが今年6月に設置された。全7会派の市議12人が参加し、計7回の会議を重ねて条例素案を決定した。市議会局によると、議員提出の政策条例議案は2018年の自転車のまちづくり推進条例以来、5年ぶり。
条例の目的として、ネット上の誹謗中傷の防止と被害者支援の基本理念を定め、ネットの恩恵を享受できる安全で安心な地域社会の実現に寄与するとしている。市の責務、市民、事業者、議会の役割を明記した。市の責務では、被害者や加害を含む行為者を発生させないための施策、ネットリテラシーの向上、相談支援体制の整備を規定した。罰則を設けない理念条例。
PTは8月、専門家の大学教授と意見交換。市と市教育委員会主催のいじめ防止シンポジウムに参加し、児童、生徒から意見を聴いた。ネットいじめの問題や先生に相談しづらいことなど、子どもたちは本音で語ったという。
PT会長の神坂達成副議長(公明)は「自殺者が出ている現状で、多くの議員が何とかしなくてはと感じていた。総合的な相談窓口が必要で、基礎自治体のさいたま市が実施することが重要」と語った。
PT副会長の小柳嘉文市議(無所属みらい)は、ネットが重要なインフラになっているとして、「若い人たちが傷つくことがないよう、特に命を落とすことが絶対にないようにしたい」と話している。
パブリックコメントは12日~来年1月11日にかけて実施する。問い合わせは、市議会局調査法制課(電話048・829・1758)へ。