埼玉新聞

 

ミニ特急列車「リバティ」、イオンで走る 春日部工高生が製作、東武鉄道が図面提供 客200人楽しむ

  • 乗客により楽しんでもらうため同じ目線で手を振る春日部工業高校の生徒ら

 県立春日部工業高校の生徒が製作したミニ特急列車を館内で走行させる催しがイオンモール春日部で8月30日に開催され、200人ほどの来館者が乗車を楽しんだ。

 市と包括的連携協定を結んでいる同社が、生徒の活躍の場をつくる地元教育支援の一環で実施。今回使用した6両編成のミニ特急列車「リバティ」は、同校機械科を3年前に卒業した生徒らが研究課題として製作した作品で実物の10分の1程度の大きさ。東武鉄道から図面提供を受け、実際に乗車し実物を見て研究しながら1年を掛けて作り上げたという。

 小学生以下対象の無料乗車体験会には、整理券をもらうため朝から多くの来館者が詰め掛け、最終回の1時間ほど前には配布完了した。会場の運営は同科3年で電車班の生徒17人が分担して取り組み、新型コロナウイルス対策としてアルコール消毒の徹底や乗車時の人数制限を行った。

 列車は館内に敷いた約40メートルの線路を時速8キロ以下で走行。子ども3人と乗車した市内の伊賀並博子さん(39)は「子どもたちが列車が好きなので事前に整理券を取得し再来場した。思ったより早い走行で、子どもたちと一緒に自分も楽しんだ」と喜んでいた。

 同行した桜井健一教頭は「成果発表だけでなく、接客を通したコミュニケーション能力のスキルアップのために参加した。生徒たちが、車両の取っ手をアルコール消毒液の乾きが早いものに取り換えたり、先頭車両に乗れなかった子どものために写真撮影するなど主体的に工夫しながら取り組んでいる姿が見られた」と話していた。

 電車班の生徒たちは現在、ミニSL「大樹」の客車部分を製作中。グループリーダーの大熊大雅さん(17)は「笑顔の接客と安全対策を心掛け、整理券を全て配布することができよかった。コロナ禍により製作にも時間的な制約等が生じているが、クオリティーの高い作品を作り上げたい」と意欲をみせていた。

 会場には、昨年の卒業生が製作したミニSL「大樹」が初公開され、見学に何度も足を運ぶ子どもたちの姿もあった。

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