障害者も健常者も一緒に…戸田で初の「パラローイング」体験教室 車いすの7歳「楽しかった。また来たい」
埼玉県戸田市の戸田ボートコースで2日、パラローイング体験教室が初めて開催された。障害者スポーツとしてボート競技を楽しむ選択肢を提供しようと、戸田中央病院ローイングクラブ(中村毅代表)が主催し、日本ローイング協会(JARA)と県ボート協会(SARA)が協力した。参加した車いすの女児は「楽しかった。また参加したい」と喜びを語った。
■水鳥と一緒
身体が不自由で車いすユーザーの都内新宿区の小学1年生、平井希実(のぞみ)さん(7)は会社員の父雅智さん(42)と参加。同クラブ選手の膝に乗って乗船。前でこぐ雅智さんに「パパ、頑張れ」とカツを入れた。
約1時間の体験後、希実さんは「水の上でカモと一緒だったよ。楽しかった。また来たい」。雅智さんは「娘も私も初めての体験、みんなのオールがそろって息が合う一体感を感じた」と感動を話した。
希実さんは初めてのボート体験でオールをこぐことは断念し、同クラブ選手の勝又晋一さん(29)の膝に乗って乗船した。勝又さんは「思った以上にボートを楽しんでくれた。こういう機会をつくることが大事なんだと思った」。
■パラ五輪選手
同病院クラブからはパラローイングで活躍する視覚障害のある坂口宥太さん(30)と2021年東京パラリンピック・ボート代表選手で身体障害者の八尾陽夏(はるか)さん(26)、神奈川県相模湖の湖猿ローイングクラブ所属で視覚障害者の若杉遥さん(28)らがコーチとして参加。
若杉さんは12年のロンドンパラリンピックでゴールボールの金メダリスト。その後ボートを始めた。若杉さんと八尾さんは「ボートは健常者と障害者が一緒にやれるユニバーサルな競技。それを広く知ってほしい」と呼びかける。
■障害者市議も
乗ったボートは舵手(コックス)付の5人乗りフォア。コックスは健常者でJARAのパラローイング委員、松川文博さん(70)が担った。「トップクラスで健常者と障害者の両方が在籍するのは、この病院クラブだけ。活動が全国に広がってほしい」と訴えた。聴覚障害者で戸田市議の佐藤太信さん(43)も乗船し「パラスポーツを広げる環境改善に努めたい」と話した。
県公園事務所が障害者用仮設トイレを用意。JARAは同コースの中心部分の500メートルの占有を許可した。この許可がなければ、大学や高校ボート部の練習が盛んな週末の教室開催は難しかったという。JARA主催の教室は神奈川県の相模湖と東京湾海の森が会場。「相模湖よりアクセスが便利。戸田でも続けてほしい」と、関係者は話している。