埼玉新聞

 

<川口いじめ>いないはずの弁護士の発言「警察正しい」を武南署が公文書に記載…訂正せず 母親が告発検討

  • 「納得できるものではない」と話す森田志歩さん=3日、県庁

 川口市立中学校でいじめを受けて不登校になった男子元生徒(17)を巡り、学校や保護者らの協議の経緯を記録した武南署の文書に虚偽の内容が含まれているとして、元生徒の母親の森田志歩さんが県警に訂正を求めていた問題で、県警は3日、訂正しないことを回答した。森田さんは虚偽公文書作成の疑いで刑事告発を検討することを明らかにした。

 県警の「個人情報の訂正をしない旨の決定通知書」は、訂正しない理由として「立ち会った担当職員2名(武南署員)から詳細な事情聴取を行ったところ、2名の記憶は一致していた」とした。校長や教頭、市教委らほかの関係者については、森田さんが川口市と裁判で係争中であるため「事実確認は控えた」とした。

 会見した森田さんは「虚偽内容の文書を書いたのは出席した武南署員2人で虚偽文書作成の当事者。この2人だけに確認しただけで訂正しないというのは到底納得できない。武南署員に対して虚偽公文書作成罪で刑事告発を検討したい」と話した。

 出席して発言したとされる埼玉弁護士会の岡本卓大弁護士は、取材に「私は同席していないし、そのような発言はしていない」と改めて否定した。

 武南署員が経緯を記録した協議は、元生徒が受けたいじめ問題を巡って2016年12月、当時通っていた市立中学校で開かれ、森田さんや校長、教頭、市教委担当者、武南署員らが出席。森田さんは息子が受けた暴力について武南署に被害を訴えていた。

 武南署の文書には「同席した男性弁護士からは、自分は刑事事件に詳しいが、私も被害届は受理しないと思います。警察の判断は正しいと思います、との発言があった」と記述されていた。

 森田さんは「学校まで岡本弁護士ら2人が同行したが同席を拒まれ、校長室で待機していた」とし、今年3月に訂正を請求した際、弁護士は校長室で待機していたとする「学校報告書」など当時の市教委の記録文書を証拠として県警に提出していた。

 県警文書課によると、当時の武南署員2人の聞き取りや請求者からの提出物などを総合的に調査した結果、カンファレンスに弁護士が出席していたかについて明らかにならなかったため、県個人情報保護条例に基づき訂正しない決定を行ったとしている。

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