埼玉新聞

 

<川口いじめ>武南署の文書に虚偽…訂正しない県警の姿勢、見過ごせず 元生徒の母親、署員2人を告発

  • 「同席せず、発言もしていない」とする岡本弁護士の陳述書(画像の一部を加工しています)

 川口市の川口市立中学校でいじめを受けて不登校になった男子元生徒(17)を巡り、学校や武南署員、保護者らの協議を記録した武南署の文書に虚偽の内容があるとして、元生徒の母親森田志歩さんは9日、文書を作成したとされる署員2人を虚偽公文書作成の疑いでさいたま地検に告発した。

 告発状は、協議の経緯をまとめた文書で「元生徒が先に足蹴りにした」、同席を拒まれた元生徒の弁護士が「同席し、警察の判断は正しいと発言した」と、虚偽の内容が含まれるとしている。

 さいたま地検大宮分室に告発状を提出した森田さんは「明らかに虚偽と分かることを訂正しないとする県警の不誠実な姿勢は見過ごせないため告発に至った。検察庁は正しい判断を示してほしい」などと話した。

 協議は元生徒が受けたいじめ問題を巡り2016年12月に学校で開かれ、森田さんや校長、教頭、市教委担当者、武南署員らが出席した。

 武南署員が記録した文書について、森田さんの求めに対して県警は3日、訂正しないことを回答。理由として「立ち会った武南署員2名から詳細な事情聴取を行ったところ、2名の記憶は一致していた」と説明し、校長や教頭、市教委らほかの関係者については、森田さんが川口市と裁判で係争中であるため「事実確認を控えた」としていた。

■ぼくが加害者みたいに書かれた

 森田さんの告発状には、元生徒の上申書と、協議に出席したとされる弁護士2人の陳述書とともに提出された。

 上申書で元生徒は「部活中に首をしめられて、倒されたり引きずられたりした。不登校になったとたんに加害生徒や学校は、ぼくが先に蹴ったと言い出した」「武南警察の記録にもぼくがけった事実があるとか、原因を作ったとか、加害者みたいに書かれた」などと記した。

 陳述書は埼玉弁護士会の岡本卓大、溝岡由里弁護士の証言。「面談の開始直前に武南署員から同席を拒まれた。警察から母親が説明を受けている間、別室で待機し、面談の部屋に入ったのは1時間ほどたってからだった」と記述。同席後は議題は学校へ行けない原因について、学校側とのやりとりがほとんどだったとしている。

 さらに「元生徒がシャツの襟首をつかまれた件について、武南署担当者から直接、被害届を受理できないことや理由の説明を受けた事実はない。岡本弁護士が『自分は刑事事件に詳しいが、私も被害届は受理しないと思います。警察の判断は正しいと思います』と発言した事実もない」としている。

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