埼玉県蕨市の蕨郵便局に10月31日、拳銃を持った男が女性局員2人を人質に8時間立てこもり、逮捕された事件で、蕨署特別捜査班は11日、立てこもる前に戸田市の戸田中央総合病院で診察中の医師らを銃撃したなどとして、殺人未遂や建造物損壊、銃刀法違反（発射、加重所持）の疑いで、戸田市新曽、無職の男（87）を再逮捕した。

　男は過去に同病院への通院歴があり、「病院の対応で腹が立ち、拳銃で撃った」と供述。受け付けの対応を巡るトラブルが確認されており、県警は犯行動機と結び付くか慎重に調べている。

　再逮捕容疑は同日午後1時12分ごろ、殺意を持って病院1階の診察室に向けて拳銃1発を発射。診察室の窓ガラスや出入り口ドアを損壊し、弾丸片などで在室していた2人の頭部を負傷させたなどの疑い。「撃った場所は事務所の裏側で人はいないはずだ」と殺意を否定しているという。

　県警によると、銃弾が撃ち込まれたのはB館西棟1階の第8診察室。男が北側路上から窓ガラスに向けて発砲し、診察中だった男性医師（49）が飛散したガラス片で、男性患者（62）が弾丸片で、いずれも頭部に約3週間の負傷。在室していた患者の妻（57）にけがはなかった。

　男は原付バイクで来て、発砲後にバイクで逃走。バイクは郵便局付近で押収された。負傷した医師や患者と面識はなかった。

　男は、蕨郵便局で複数の警察官へ発砲した殺人未遂や女性局員2人を人質に取った人質強要処罰法違反の疑いなどで逮捕、送検されていて、今回が3度目の逮捕。

　病院銃撃の直前に発生した自宅アパートの火災についても「自宅を放火した」と関与を認めており、県警は現住建造物等放火容疑での立件を視野に、捜査を進めている。