埼玉新聞

 

同級生から無視、転学理由はいじめと認定 いじめから2年…被害生徒の父親「迅速に結果出る体制を」

  • 県教委などがまとめた報告書を受けて会見する滝沢祐二さん(左)と「プロテクト・チルドレン」の森田志歩代表=11日午前、さいたま市浦和区

 県立秩父農工科学高校に通っていた当時2年の女子生徒がいじめを理由に転学していた問題で、同校のいじめ問題対策委員会と県教委は報告書をまとめ、いじめが転学理由だったと認定した。女子生徒の父滝沢祐二さん(50)は11日、さいたま市内で記者会見し、一定の評価をしつつ、「被害者はずっと被害者のまま。迅速に調査ができる体制づくりをしてほしい」と再発防止を訴えた。

 報告書によると、女子生徒は同校の2年生だった2018年5月、同じクラスの女子生徒3人から無視されたり、集まりに誘われないなどの行為を受けたほか、グループの1人は他校の生徒に「女子生徒は自殺しそうだ」などと話していた。恐怖を感じた女子生徒は同年6月1日から不登校になり、7月に転学した。

 報告書では、女子生徒側がいじめと訴えていた五つの行為について、いずれも「心身の苦痛を感じさせたもの」と認定。「いじめと認定できる行為があり、転学の理由であると認められる」と結論付け、再発防止策として生徒が教職員に相談しやすい体制づくりなどを盛り込んだ。

 滝沢さんは「いじめの発生から2年が経過し、なかなか被害者の意見が通らなかったが、ある程度納得できる報告書ができた」とし、「娘は長く寂しい日々を過ごしている。もっと迅速に調査をして結果が出るような体制を作ってほしい」と訴えた。

 同校のいじめ問題対策委員会は同年11月から調査を開始。19年2月に作成された報告書案では、女子生徒側が認識する事実とは異なる点があったため、女子生徒側が全容解明などを訴えていた。今年7月には、市民団体「プロテクト・チルドレン」代表の森田志歩さん(川口市)の働き掛けもあり、報告書の作成や確認などに県教委も入り、9月4日に「いじめ事案に関する報告書」をまとめた。

ツイート シェア シェア