埼玉新聞

 

<新型コロナ>自民新総裁に菅氏、観光地から期待と不安 川越「給付金を」、秩父「路線継承で早い収束を」

  • 観光客が訪れる「一番街」=14日午後、川越市内

  • 観光客でにぎわいを見せていた境内=14日午後1時半ごろ、秩父市番場町の秩父神社

 14日の自民党総裁選で圧勝した菅義偉氏。7年8カ月支えた安倍政権の継承を宣言し、「裏方」「調整役」から転身する。「令和おじさん」「たたき上げ」…。親しみやすさをアピールする一方、意向を通すために官僚の左遷をいとわない強権的な面も。新たな日本のリーダーの下、新型コロナウイルスで疲弊する国民の生活は変わるのか。埼玉県内の観光地からは期待と不安の声が上がった。

■「まだ怖い」再拡大警戒/観光地

 観光客の姿が戻りつつある川越市。駄菓子店が軒を連ねる川越市の観光スポット「菓子屋横丁」で土産物を販売していた女性店員は「新総裁と聞くと、根拠はないが、やっぱり期待するところがある。お店を継続するための給付金を今度は簡単な手続きにして、また交付してほしい」と要望する。

 政府は10月から観光支援事業「Go To トラベル」に東京都を追加する方針で、観光需要を喚起し経済の立て直しを見据えている。川越は県境をまたぐ移動の自粛要請が解除された6月以降、徐々に人出が見られ始めたが、「コロナ前」の姿には戻り切れていない。

 蔵の町並みで知られる「一番街」の土産店で接客していたマスク姿の男性店員は「バスに乗ってくる団体客がいない分、まだ観光客は少ないが、急に増えだすとコロナが心配。商売を安心してでき、観光客も楽しめるような仕組みを菅さんには打ち出してほしい」と話す。

 川越と並ぶ県内観光地の代表格である秩父市。秩父神社の表参道である番場通りで喫茶店「パーラーコイズミ」を営む小泉建さん(79)は「夏から観光客の姿が少しずつ戻ってきた」と実感しつつも、今後の見通しについて「観光客は増えると思うが、コロナの怖さはまだある」と警戒する。

 緊急事態宣言中は人通りが少なく、同店は4月下旬から5月まではテークアウトのみの営業に変更。感染拡大防止のため、アルコール消毒などの対策も徹底している。

 12月2、3日に行われる同神社の例大祭「秩父夜祭」で山車の巡行が32年ぶりに中止が決まり、コロナは引き続き暗い影を落としている。小泉さんは「菅さんは安倍さんの路線を継承していくと思うので、一日でも早い新型コロナウイルスの収束を期待したい」と話した。

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