スカウトされたカエル、埼玉新聞読むポーズも 坂戸の男性がユニークな写真展 カエル、まさか言葉通じる?
帽子をかぶってスイカをつかんだり、野球をしていたり。そんなユーモラスなカエルの写真を並べた写真展「ケロッコ村のゆかいな仲間展」が、日高市高富のギャラリーはなももで10月1日まで開かれている。撮影したのは、坂戸市の溝呂木芳(みぞろぎ・かおる)さん(72)。生きたアマガエルをモデルに擬人化し、ミニチュアと組み合わせて表現。溝呂木さんは「写真を見た人に、自然を大切に思う心を感じてもらえれば」と話している。
「カエルはかわいくてちょうどいい被写体。一年中カエルのことで頭はいっぱい」。溝呂木さんは笑顔で話す。
写真が趣味で若い頃から祭りや風景などをカメラに収めてきた。カエルを擬人化した作品を撮り始めたのは2006年から。コンテストに応募するために三つの窓があるミニチュアの家にカエルを2匹配置し、「みどりが丘ハイツ入居者募集中」と書いた看板とともに撮影した。「一部屋空いてます」と題をつけて応募したところ見事入選。以降、カエルを擬人化した作品を撮り続けている。
■「頼むよ」とお願い
撮影場所は自宅から20分ほどの公園。モデルのカエルは主にアマガエルで、大きさは人さし指の腹に乗るくらい。公園近くの田んぼで「スカウト」する。多い時で10匹ほど、交代させながら撮影する。
大切なモデルに無理はさせない。押さえ付けたりせず、ミニチュアで作ったセットに置くだけ。時にはカメラを構えた瞬間、跳んでいってしまうこともあるが、「『頼むよ』って言いながらお願いすると、意外とじっとしていてくれる」。動きが止まった一瞬のシャッターチャンスを逃さない。思い通り撮影できたときに喜びを感じる。役目を終えたモデルは元の場所に戻し、自然へ返す。
■自然大切に思って
カエルは冬眠する生き物。そのため撮影期間は4~10月に限られる。シーズンオフはミニチュアを取り扱うリサイクル店や100円ショップを巡りネタ探し。「ミニチュアを見て、作品の構想を練っている時間」も楽しみの一つだ。
かわいらしい作品を見た小学生の女の子からは「カエルが嫌いだったけど、カエルちゃんが好きになりました」といった感想も。
溝呂木さんは「草むらや川辺の自然がなくなってしまうと、カエルもいなくなってしまう。写真を見た人が自然を大切に思う心を持ってくれたらうれしい」と話す。
写真展の問い合わせは、ギャラリーはなもも(電話042・978・5855)へ。日、月、金曜定休。溝呂木さんの作品はインスタグラムでも見ることができる。