埼玉新聞

 

<埼玉西武だより>小児がんの子どもら支援 “全力プレー”でファン沸かせる栗山巧、回復へ全力で頑張って

  • 全力プレーで魅了する埼玉西武の栗山巧は、2014年から小児がんを患う子どもとその家族への支援する活動を行っている(球団提供)

 9月30日のオリックス戦、栗山巧が第1打席でセンターの頭上を襲う二塁打を放った。プロ入り通算1900本目の安打に栗山は試合後、「これから一本一本、積み重ねていくだけだと思っています」と振り返った。

 特に今年は随所で勝負強い打撃が光り、守備に就けば“全力プレー”でファンを沸かせている。

 「全力」と言えば、栗山自身も「好きな言葉の一つ」だが、その言葉を最近、小児がんの子どもとその家族へ、色紙に書いて贈ったという。「僕が今やるべきことを全力で頑張る。病気で今を頑張っている子どもたちも回復に向かって全力で頑張ってほしいという願いと気持ちを込めて(色紙に全力と)書きました」

 2014年から継続して小児がんの子どもとその家族の支援を行っているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、例年実施している主催試合への招待や交流が実施できなくなった。その代わりに「公益財団法人 がんの子どもを守る会」を通じて「全力」というメッセージを添えて闘病中の子どもたちに色紙を贈ったのだった。

 「小児がんという病気で苦しんでいる子どもたちがいることを、何かで知る機会がありました」と活動のきっかけを語る栗山。「治らない病気ということをイメージされる方もいるかもしれませんが、昔と比べて克服できる可能性も高いと同時に知りました。回復に向かって頑張っている子どもたち、周りでサポートしている人たちへ、僕のできることで力になれたらという思いから活動をスタートしました」と続けた。子どもたちの顔を見るたびに、活動の意義を実感している。

 「僕が球場に皆さんを招待してお会いできて良かったなと思うことは、『闘病生活などもあり球場で野球を見る、生のスポーツを見るということがなかなかなかったのでこの招待がきっかけになった』と言葉を頂く時です。球場に来てくださる方々は、症状が回復に向かわれているお子さんも多いので、このまま良い方向にどんどん向かってくれたらと希望を持っています」

 今季はその雄姿を見せることができないが、「もっともっと皆さんに喜んでもらえる何かがあれば、僕も含めて球団とも協力して応えたいと思っています」と笑顔を見せた栗山。その“全力プレー”で積み重ねたヒットは近く金字塔となり、それが多くの人を喜ばせ、勇気づけることだろう。

 「皆さんの前向きな気持ちを大切に頑張ってほしいと願いますし、僕も頑張ります。また球場でお会いしましょう!」と決意を口にし、栗山は次の一本を打つために今日もグラウンドに向かう。

 (埼玉西武ライオンズ広報部・田代裕大)

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