埼玉新聞

 

募集停止…上尾唯一の公立幼稚園 65年開設、76年ピークから園児減少続く「来年度の園児2人の対応は」

  • 上尾市役所=上尾市本町

 上尾市内唯一の公立幼稚園である市立平方幼稚園について、園児数の減少により市が来年度の募集を停止することが7日、分かった。市は同日開かれた保護者説明会で、保護者や近隣住民に経緯を説明した。

 同幼稚園は1965年に開設。76年に223人に達したのをピークに園児数は減少を続け、今年度は17人となっている。このうち年長児15人が来年3月に卒園する。現在、同幼稚園運営費は約4千万円。

 昨年12月議会で、市が提案した廃園に関する条例改正案は「保護者への説明不足」「今後の幼児教育の展望が見えない」などを理由に否決。その後、市は今年7月1日から4回にわたって保護者との意見交換の場を設けた。保護者からは「来年度の園児2人の対応に責任を持ってもらいたい」「発達障害など私立幼稚園では受け入れられない子どもたちは今後どうするのか」などの意見が出され、市は「保護者の気持ちに寄り添い丁寧に対応していく」「教育委員会は私立幼稚園への指導を含めた関与、支援を今後も行う」などと答えていた。

 市内には私立幼稚園、認定こども園が21園あり、入園率は70%。送迎バスなど市内全域から受け入れが可能。23年には「子ども・子育て支援複合施設」(仮称)も新設される。

 市幹部は取材に「コロナ禍で財政状況も厳しい中、苦渋の決断。どうかご理解いただければ」と話した。

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