<川口いじめ>教育者としての良心は痛まないのか…生徒側、市側を批判 「理解できない」市側の主張とは
2020/10/08/00:00
川口市立中学校の在学中にいじめや顧問教諭の体罰などを受け不登校になったのは学校、市教委の不適切な対応が原因だったとして、元男子生徒(18)=県立高校3年生=が市に損害賠償を求めている訴訟の第10回口頭弁論が7日、さいたま地裁(岡部順子裁判長)で開かれた。新型コロナウイルスの感染防止のためオンラインで行われた。
市側はこの間初めて、総括的な見解を書面で提出。原告側は、市の対応が、いじめ防止対策推進法に照らして適切・適法だったのか否かについて、市側の見解が示されることを期待していた。同法はいじめ被害の可能性が分かった場合、学校は速やかに事実を確認し、拡大防止のための調査や報告、措置などを取るべきと規定している。
市側は準備書面で「同法はいじめ防止のために学校や市教委、自治体の果たすべき役割、いじめ防止のための基本事項を明らかにする法であり、この条文が地方公共団体と生徒や保護者など当事者間の権利義務を規定するものではない」と主張した。
この見解について、原告代理人の弁護士は閉廷後にコメントを出し「川口市の主張のように解釈した場合、学校が早期発見、早期対応などいじめ対策を行わず、怠慢によって生徒らに被害が生じた場合でも、学校はなんら義務も責任も負わないという、極めて不当なことになる」と批判。
原告の母親、森田志歩さんは閉廷後の会見で「このような主張をして教育者としての良心は痛まないのか。子どもたちを守るこの法律を、なぜここまで否定するのか、私たちには理解できない」と語った。