JR川口駅前のリリア、2月末から一時休館…2年間の大規模改修へ 工事終了は25年12月の予定 改修後は新美術館と一体、駅前の顔に
川口総合文化センター・リリアは開館から30年以上が経過し、2024年2月末の営業をもって一時休館、約2年間の大規模改修期間に入る。工事終了予定は25年12月。改修後は隣接地に新たに建設される美術館と一体となり、駅前の顔として、文化芸術の総合拠点としての役割を担うことが期待されている。
川口総合文化センター・リリアは国の研究所跡地に1990年7月1日、開業した。愛称の「リリア」は市の花「テッポウユリ」にちなみ名付けられ「ユリのある場所」との意味を持つ。2002席のメインホール、600席の音楽ホールを有するホール棟と地上14階建てのタワー棟で構成され、これまでにコンサートや貸し会議室、ギャラリーなどとして利用されてきた。
市新拠点施設準備室などによると、市が2018年に実施した施設検査では、建物の耐震性に問題はなかったものの、水回りや空調、配管、外壁用のゴンドラほか、特に国土交通省が定める「特定天井(=つり天井など)」で耐震改修の必要があることが判明。22年度に大規模改修の概要を決定する基本設計が行われ、23年度は工事へ向けた実施設計が行われている。
この大規模改修と同時に市はリリア西側隣接地に新たに美術館を建設する。
市では明治から昭和初期にかけて活躍した日本画家鏑木清方の「隅田川両岸」(双幅)をはじめ、市民から寄贈を受けるなどした横山大観、川合玉堂らの絵画作品約220点を所蔵しているが、展示、保管を同時に行う施設はこれまで市内になかった。
市文化推進室によると、市は18年に外部有識者による「市美術館建設基本構想・基本計画審議会」を設置。美術館の在り方を検討し、20年3月に審議の結果をまとめた基本計画案が答申された。
21年6月に基本計画を策定。当初、新美術館は川口駅東口、栄町3丁目の旧栄町公民館跡地での整備を想定していたが、22年の市議会3月定例会でリリア西側隣接地が候補地に加わり、比較検討の結果、最短の整備スケジュールが見込まれることや、文化拠点が集約されるなどの観点から同年12月、リリア西側隣接地と決まり、基本計画が改定された。
工事着工へ向けては12月25日まで行われた市議会12月定例会で関連補正予算を可決。美術館建設工事費として約52億円、リリア改修工事費として約159億円、本年度から25年度にかけての支出を予定する債務負担行為が設定された。
市新拠点施設準備室担当者は「両施設を川口の文化の殿堂、文化の発信拠点としたい。さまざまに活用していただくことで、市の文化度を上げていきたい」と話している。