<新型コロナ>劇団クラスター気の毒「予防して誠実な対応。非難できない」…どこのグループでも起き得る
さいたま市浦和区の劇団「ミュージカル座」で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した問題で、市は12日、新たに6人の感染が判明し、感染者は計68人になったと発表した。少なくとも3人が陰性の結果から、再度の検査で陽性になった。稽古に参加した91人が検査を受けており、結果待ちは6人。
■経済的苦境に追い打ち
ミュージカル座は1995年、国産ミュージカルの創作を目指して設立された。オリジナルのミュージカル作品を作り続けている数少ない劇団という。多くの劇団と同じく、新型コロナウイルスの影響を受けて、4、5月に予定していた3公演を中止した。収入が絶たれたため、「劇団存続の上で創立以来の危機的状況」として、4月にクラウドファンディングで支援を要請。6月12日までに、1188人から約1377万円の支援金が寄せられていた。
文学座などが加盟している公益社団法人日本劇団協議会によると、今年3月ごろから、一般向けばかりでなく、学校での公演活動なども中止になり、加盟する劇団は経済的に厳しい状態が続いている。文化庁の文化芸術活動の継続支援事業などへの申請を促しており、担当者は「経済的に厳しくても、上演していくことが大事で、(各劇団は)続けていってほしい」と語った。
さいたま市の朗読グループ「声の会」は14日、さいたま市民会館うらわで、コロナ禍などを題材にした朗読会を行う。会場のガイドラインに基づいて稽古を続けてきた。出演する会員に異変があれば、中止を検討するが、今のところ開催する予定。
制作担当者は劇団のクラスターについて、「何が正解なのか本当に分からない状況。感染予防の基準を満たしての公演は世の中に許されていると思う。今回はあいまいにしないで誠実な対応をした。どこのグループでも起き得ること。気の毒で非難することはできない」と話していた。