埼玉新聞

 

結婚の記録を梅農園で 越生でフォトウエディング その日限りの自然や天気、自分たちだけの思い出を

  • 撮影で使用するブーケも自分たちで作ることができる

  • 梅の収穫をする水川瞳さん(提供写真)=越生町の山口農園

 農園で一生の記念となる結婚の記憶を―。越生町の梅農園の敷地を会場に、写真で結婚の思い出を残す「農園フォトウエディング」のサービスが始まった。発案者で、イベントを取り仕切るモデルの水川瞳さん(25)は摂食障害寸前まで追い込まれたのを機に農業に関心を持ち、現在は農業系ユーチューバーとしても活動している。「フォトウエディングを通じて、農園のファンを増やしたい」と意欲を燃やしている。

 農園フォトウエディングは四季折々に変わる自然や、天気の様子など、その日限りのロケーションの中で進行していくため、「自分たちだけの結婚の記録」として写真で残すことができる。初回の9月下旬には2組のカップルがサービスを利用した。

 「自然が大好きで、インスタグラムでこのサービスを見掛けて、すぐ申し込みました」。新婦の大越佳奈さん(23)は、新郎の拓実さん(25)と2人で京都府から訪れた。

 挙式ではないため出席者はいないが、農園近くの住民らが見物に訪れ、2人にお祝いの言葉を掛ける一幕も。大越さん夫妻は「こんなアットホームな形で祝ってもらえてうれしい」と目を細めた。

 新型コロナウイルスの影響でウエディング業界を取り巻く状況は厳しい。山口農園代表の山口由美さんは「こういった状況だからこそ、農園や農地に需要もある。今後もさまざまな敷地の活用の仕方を検討していきたい」と話す。

 サービスの発案者でイベントを仕切る水川さんはモデルを目指し、子どもの頃から厳しい食事制限を自らに課してきた。努力が実を結び、20歳の頃にミスユニバース埼玉のファイナリストに選出。華々しい活動の一方、食事制限は厳しくなり、身体が悲鳴を上げるようになった。

 摂食障害ぎりぎりの状態まで追い詰められ、「この生活を続けていくことが私の幸せだろうか」と疑問を抱いた。「食べることは悪」と思い込んでいた自分の考えも変わり始め、身体の状態も上向きに。さらに「食」への探求心が芽生え始め、その大本となる農業に関心を持ち、自分を受け入れてくれる農園を探し、山口農園にたどり着いた。

 働き始めると、どんどん農業の魅力に引き込まれた。同時に多くの人にも知ってほしいと思うようになり、そのためには「実際に足を運んでもらうのが一番」と、農園フォトウエディングを発案した。

 別の狙いもある。リピーターの獲得だ。サービスを利用した夫婦が数年後、「あの農園どうなったかな」「またあの思い出の農園に行こうよ」と考えるかもしれない。水川さんは「フォトウエディングをきっかけに何度も農園に来てもらい、ファンを増やしていきたい」と目を輝かせている。

 農園フォトウエディングの内容は、FARM WEDDINGのインスタグラム@return.to.soil.wdで確認することができる。

ツイート シェア シェア