いざ鎌倉、いざ…武蔵武士の姿伝えるマンガ「畠山重忠物語」作成 埼玉・嵐山町 シナリオ、作画も町関係者
埼玉県嵐山町は、郷土が生んだ鎌倉時代の武蔵武士・畠山重忠公が主人公のマンガ「いざ鎌倉 いざ嵐山 正路をゆく 清廉の人 畠山重忠物語」(B6判、218ページ)を発行し、町内の小中学生全員に配布した。地域教育の一環で、公益財団法人B&G財団の支援を受けて作成した。
重忠公は平安時代の長寛2(1164)年、男衾(おぶすま)郡畠山館で生まれた。鎌倉時代の代表的な武将で、平家の追討に従軍し、宇治川の合戦や一ノ谷の戦いなどで活躍、鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝の信頼も厚かった。鎌倉時代の史書「吾妻鏡」によると元久2(1205)年、相模国二俣川で、北条勢の謀略で、討ち死にしたとされる。
質実剛健、情操・文武に優れ、清廉・実直。武士として、人として最期まで誠実な生き方を貫き通した重忠公は後世、「坂東武士の鑑(かがみ)」と称賛された。同町にある「菅谷館跡」は重忠公の館ではないかと古くから言われてきた。
発行者は嵐山町教育委員会(下村治教育長)で、製作は同町偉人マンガ製作活用検討委員会(内田章委員長)。2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送を前に企画された。重忠公の史実と魅力を最大限に引き出すため、歴史の専門家の委員らを中心に内容を検討。シナリオ(文)は元町職員の植木弘さん(66)、作画(絵)は同町在住で、専門学校でイラストを学ぶ田畑紗雪さん(22)が担当した。巻末には「らんざん重忠検定」(16問)と答え・解説も掲載されている。
時代背景や衣装など、文も絵も再三の手直しを経て、準備段階から2年余りをかけて、昨年の秋に完成させた。発行記念式典で佐久間孝光町長は「(マンガには清廉・実直な)重忠公の人物像が、しっかり描かれている」と話した。
同町教委は「このマンガを通して、子どもたちや若者たちに重忠公の素晴らしい物語を伝え、歴史と文化、そして郷土・嵐山への興味を呼び起こし、新たな学びの扉を開く手助けになれば」としている。