埼玉新聞

 

恩をずっと忘れぬ店長、地元さいたまの小学校に大量マスク贈る 周辺店舗もマスク集め協力 困った人助けて

  • 集めたマスクを宮原小学校の佐藤校長に手渡す狩野さん(右)=15日午前、さいたま市北区

 さいたま市北区宮原町の飲食店など8店が15日、市民らに呼び掛けて集めたマスクを、地元のつばさ小学校と宮原小学校に2500枚ずつ寄贈した。6月22日から各店に回収ボックスを設置し、9月30日までの約3カ月で9553枚集まり、その一部を届けた。発起人で理容店「ファミリーサロンフレッシュ」の狩野信一店長(42)は「小さな理容店から始まった活動が大きな輪となり、予想以上に多く集まった。児童には学校生活で活用してもらい、コロナに負けず元気に育ってほしい」と話している。

 狩野さんが経営する理容店は2012年、JR宮原駅から徒歩数分の場所に開店した。地元の人に支えられ丸8年を迎え、「お世話になってきた地域に何か恩返しできないか」と思い立ったことがきっかけ。

 春先に子ども用マスクが不足していた状況を客から聞き、駅周辺の飲食店ら7店に協力を呼び掛け、マスク回収ボックスを設置してもらった。チラシを作ってPR活動も実施。理容店の店頭には毎日集まったマスクの数を示す「マスク寄付メーター」も掲示した。当初は千枚を目標としていたが、子ども用以外にも手作り品など多くが届けられた。

 児童は予備のマスクも持参するが、学校生活で汚してしまい足りない時も多くあるという。宮原小学校の佐藤健校長は両手いっぱいにマスクを受け取り、「善意の詰まったマスクを頂き感謝。子どもたちのことを考えて大人が一生懸命に取り組んでくれたことを、児童にも伝えていきたい」と謝意を述べた。

 狩野さんは「私も子どもの頃に大人から受けた恩はずっと忘れなかった。子どもたちが大きくなった時、マスクが届いたことを心の片隅に忘れず記憶し、困っている人がいたら助けられる大人になってほしい」と話した。

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