埼玉新聞

 

川越まつり見送りで「川越氷川祭礼中止奉告祭」、熱気立ち込める 祭り衣装着ると「気持ちがぴりっとする」

  • 各町の高張提灯が掲げられ、川越まつりの見送りが神前に告げられた川越氷川祭礼中止奉告祭=川越市宮下町2丁目の川越氷川神社

 17、18日に開催を予定していた川越まつりの見送りを神前に告げる「川越氷川祭礼中止奉告祭」が、川越氷川神社で営まれた。氏子区域の山車保有町から代表者らが参列。各町の高張提灯(ちょうちん)も会場に結集して荘厳さの中にも熱気が立ち込める奉告祭となり、祝詞を奏上した山田禎久宮司(52)は「力を合わせ、この災いを越えて行こう」と願った。

 見送りは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためで、昭和天皇の健康悪化を受け、1988年に自粛して以来。川越まつりは川越氷川神社の例大祭を起源とする。今秋の中止を受け、神社と氏子らが検討した結果、氷川の神に見送りを告げる奉告祭を行うことを決めた。

 川越まつりを象徴するのが絢爛(けんらん)豪華な山車行事。氏子区域では13カ町が山車を保有し、各町代表者が祭り衣装に身を包んで参列した。大きな提灯をさおに取り付け、山車行列の先頭に立つ高張提灯もそれぞれ13本持ち込まれた。提灯には「羅陵王」「弁慶」など山車に飾る人形や町の名が大きく記され、関係者は誇らしげに掲げていた。

 参列した志多町の高柳尚さん(73)は「祭りの中止は残念でならないが、こうして祭り衣装を着ると気持ちがぴりっとするね」。元町1丁目の藤田明義さん(59)は「なじみの顔を見ることができ、奉告祭に来てよかった」。「奉告祭に来られなかった仲間の気持ちも持ってきたよ」と末広町の白木栄さん(63)。

 結集した13本の高張提灯は、18日まで川越氷川神社の神前に飾り付けられた。同社のお膝元である宮下町の金子金次さん(78)は「来年は東京五輪が開催され、その次の年は川越市制施行百周年が待っている。コロナが収まり、来年こそ川越まつりが開催できるといいね」と話していた。

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