<川口いじめ>賠償命じられ、敗訴したのは市なのに…市長「主張が認められた」 元生徒の母が批判
2020/10/27/00:00
川口市の奥ノ木信夫市長は26日、市立中学校でのいじめに関する情報開示請求に関する裁判の14日のさいたま地裁の判決について「大筋で市の主張が認められたと受け止めているが、情報開示について取り扱いは一層丁寧な対応に努めたい」と語った。
判決は、市教委の手続きの一部に瑕疵(かし)があり違法だったとして市に2万円の賠償を命じ、市が敗訴した内容だった。市長の見解は判決と大きく食い違う内容となった。
茂呂修平教育長も「総じて市の主張が認められた判決だった。控訴は積極的には考えていない。原告が控訴しない限り、控訴しないだろう」と語り、28日の控訴期限までに正式に方針を決めるとした。
この裁判は、原告の市立中元男子生徒=県立高校3年生(18)=が2019年1月、自分のいじめに関する個人情報の開示請求に対する、市の不開示決定や不訂正決定は違法だとして文書開示や一部文書の内容訂正と慰謝料100万円を市に求めていた。
市は文書を開示し、文書の虚偽部分に原告主張を添付する形で訂正したが、倉沢守春裁判長は「市教委には個別具体的に開示・不開示情報を特定する職務上の義務があったのに、これを怠った」などとし、国賠法上の違法行為があったとし、慰謝料として市に2万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
原告の母親の森田志歩さんは「教育行政の瑕疵、国賠法上の違法が認められ賠償を命じる判決は異例だと思う。『大筋で市の主張が認められた』とは到底言えないと思う」と市長らの見解を批判している。