今春の県議選展望、自民過半数が焦点 立民、国民は擁立苦戦 「1強多弱」背景、無風区の増に懸念の声
4年に1回の今春の統一地方選で行われる県議選は4月7日に投開票され、前回と同じ全52選挙区、93の議席を巡って争われる。県議会で上田清司知事との対立が続く最大会派の自民党が、単独過半数を維持するかが最大の焦点。ただ、旧民進党が分裂して誕生した立憲民主党や国民民主党は支持基盤が縮小し、候補者の擁立に苦戦。前回のように、上田知事に近い県議らが非自民勢力を結集する動きも現状ではみられない。国政のように県政でも「1強多弱」を背景に、無風区が増えることに懸念の声が上がっている。
埼玉新聞社の調べでは、昨年12月末時点で立候補を予定しているのは、前回同時期(2014年12月末=130人)より2割少ない104人。内訳は現職76人、新人26人、元職2人となっている。
自民は現職46人、新人11人、元職1人の計58人を公認。ベテラン現職が引退する南9区(さいたま市浦和区)、南18区(新座市)、東6区(白岡市・宮代町)以外の49選挙区で、候補予定者が決まっている。公明の現職がいる南18区は自公の友党関係もあり、擁立は難しいとみられる。残りの2選挙区は公募で候補者の選定を進めている。
自民県連の鈴木聖二幹事長(県議)は「県連ではこれまで各選挙戦を均一に支援してきたが、今回は重点区を定めて選挙カーによる遊説などを集中させる。最低でも55議席は獲得したい」と意欲を見せる。
公明は現職7人、新人2人の計9人を公認。中でも南18区と南13区(上尾市・伊奈町)、東7区(春日部市)は最重点区とし、活動に力を入れる。公明県本部の塩野正行幹事長(県議)は「非常に厳しい選挙になるが、9人全員の勝利を目指す」と話す。
立憲民主は現職5人、新人3人を公認。目標に掲げている「二桁擁立」に向けて、調整を進めている。立民県連の枝野幸男代表(衆院埼玉5区)は昨年12月の会合で、「草の根からの民主主義を掲げて党を立ち上げた。草の根の暮らしと密接につながっているのは地方議員。擁立候補全員当選を目指す」と述べた。
国民民主は現職3人、新人1人の擁立を決めた。現時点で新人は、民進党現職(当時)が市長選に出馬した南13区のみにとどまるが、国民県連の大野元裕代表(参院埼玉選挙区)は「あと数人の新人擁立を考えている。候補者を擁立したところは全て勝たせたい」と党勢回復に向けて意気込む。
共産は現職5人、新人7人、元職1人の計13人を公認。さらに新人1人の擁立を固めている。社民は新人1人を推薦するにとどまっている。
前回の県議選では、自民県議団の対抗勢力を目指し、上田知事に近い無所属県議や新人候補らが政治団体「プロジェクトせんたく」を設立。上田知事も応援団長として支援したが、自民の単独過半数割れは実現しなかった。
せんたく代表を務めた県議会会派・県民会議代表の鈴木正人氏が、今季限りでの引退を表明。現時点では前回のような非自民勢力を結集する動きはない。