クマ出没、埼玉で49件 最多は秩父の18件、東松山でも2件 近年は人里近くでの目撃情報が増加
全国各地でクマの出没や人身被害が相次いでいる。環境省は10月の対策会議で、今年4~9月の各地におけるクマの出没数が1万3670件に上り、現時点で公表している2016年度以降の同期比で最多だったと明らかにした。背景について、生息分布エリアが山間部から、平野部や海沿いにまで拡大しているとの見方を示した。埼玉では出没が49件あり、県などが注意を呼び掛けている。
県みどり自然課によると、県内の本年度のツキノワグマの出没数は9月末現在で49件。市町村別では秩父市が18件で最も多く、小鹿野町と飯能市が10件ずつで続き、皆野町が4件、東松山市が2件だった。本年度は人への被害は確認されていないが、2018年度に1件、16年度には2件の被害があった。
秩父市生活衛生課によると、今年5月~10月30日に市内では23件のクマの目撃情報が寄せられている。今年は特別に多くはないが、近年は人里に近い場所での目撃情報が増加。16年9月に同市大滝の県立大滝げんきプラザでツキノワグマが捕獲されたほか、昨年7月には同市浦山の女性方にクマが侵入し、冷蔵庫の中身を食べられる事案も発生した。
県警によると、16年5月に小鹿野町の両神山の登山道で30代男性がクマに襲われ軽傷、同年8月には同市荒川上田野の遊歩道でハイキングに訪れていた50代男性がクマに襲われ重傷。18年10月にも、同市三峰の三峯神社の南東3・6キロの登山道で、70代男性がクマの親子に襲われ、両手にけがを負った。
県は県警や消防と合同で10月24日、秩父地域の登山口を中心に、クマの出没に注意するチラシを登山客に配布した。
県みどり自然課は「遠くにいる場合はクマを刺激しないように落ち着いて静かに立ち去ること。近い場合は顔を向けたままゆっくりと後ずさりをして距離を取ってほしい」と呼び掛けている。