授業で作ったロボットが快進撃! 「くじ」でチーム決め、部活の合間に試行錯誤 埼大付属中、ロボコン16強
埼玉大学教育学部付属中学校(さいたま市南区)の2年生チームが技術の授業で製作したロボットが注目を集めている。チームは発想や技術力を評価するロボット競技コンテストの県大会で審査員特別賞を受賞し、続く関東大会でも入賞。20日に行われた「創造アイデアロボットコンテスト全国中学生大会」に出場し、ベスト16入りを果たした。同校技術科担当の木村僚教諭は「授業の中で製作したロボットで出場することは、全国的にも非常にまれなこと」と話す。
作業台には生徒が作った木工作品が並び、3Dプリンターが模型を印刷する機械音が響く―。全国大会前日の19日、放課後の技術室で同校2年の矢野絢音さんと谷将吾さんは、最終調整をしていた。ロボットの名前は「Infinity(インフィニティー)」。横から見た時に、核となるメカニズムが無限大(∞)に見えることから、チームリーダーで操縦者の松原広河さんが命名した。
競技は、棒状のアイテム8本を決められた枠内にシュート(運搬)するというもの。90秒の制限時間で、より多くをシュートしたチームが勝ちとなる対戦形式で、速さと正確さが求められる。
■アイデア共有
チーム発足は昨年5月。技術科の授業内で、くじ引きでチームを決めた。基本となるパーツは各チーム同じ。いかに実現可能で効率のいいロボットを構想できるか発想力が試される。「勝ち負けよりもいいアイデアの共有を」と木村教諭は指導したという。
インフィニティーは、初めはアイテムを持ち上げるのが限界で、1本もシュートすることができなかった。10月のクラス対抗戦でも優勝を逃したが、優れた発想をクラスメートたちで審査するアイデア賞を受賞し、学年大会に参加。そこで評価され、学校代表として11月の県大会に出場することが決まった。谷さんは「棒を持ち上げるのではなく、土台ごと上げることを工夫した。ここが長所でオリジナルの部分」と胸を張る。
■オンリーワン
「棒を上げる仕組みがオンリーワン」と評価を受けたインフィニティーは構造上、重りを使ってバランスを保っていた。ただ、重りを付けると機動力が落ちるという欠点がある。そのため、ロボットのアーム部分をプラスチックからアルミに変更した。「重りと軽量化のバランスを意識した」と矢野さんは語る。
12月の関東大会直前には、アームに手を加え、同時に複数本アイテムをつかむことができるように改造。矢野さんによると「今は1回で最大4本持ち上げられる」という。
ロボコン部や技術部といった部活動単位で大会に参加する他校に負けじと、矢野さんらは自身の部活動などの合間を縫って、試行錯誤と操縦練習を行った。
■大会ごとに成長
20日に東京都中央区で行われた「創造アイデアロボットコンテスト全国中学生大会」では、予選を突破し決勝トーナメントへ進出。全国の強豪がひしめく中、ベスト16の好成績を残した。
リーダーの松原さんは「棒を倒さないように操縦できた。最後にパーフェクトなゲームができて良かった」と喜びを語った。
谷さんは「(ロボット製作で)うまくいかないこともあったが、トライアンドエラーで大会ごとに前とは違うロボットに改善して、ここまで成長できた」と振り返り、矢野さんは「他県のチームから学ぶことが多かった。違う部門でまた来年も(ロボコンに)出てみたい」と話していた。