乳児死亡、ヘルニア手術後に さいたま市立病院、遺族と解決金支払いで合意 裁判所の医療過誤の認定なし
2020/11/20/00:00
さいたま市は19日、市立病院(緑区)を受診した生後5カ月の男の乳児=川口市=が鼠径(そけい)ヘルニアの手術後、容態が急変し死亡した医療事故が発生し、遺族の調停申し立てによる解決金700万円を支払うことで合意したと発表した。再発防止を徹底するとの条項も盛り込まれた。損害賠償額を決定する議案を25日開会の市議会12月定例会に提出する。
市立病院病院総務課によると、乳児は2012年5月9日、手術後に出血性ショックにより死亡した。病院側は止血の方法などについて医療過誤と認めず、話し合いを継続。遺族が今年6月、東京地裁に調停を申し立てた。双方が解決金と再発防止策を話し合い、裁判所から示された調停案で合意した。裁判所は医療過誤の認定をしなかったという。
調停条項は、当該手術を安全に実施できるよう技術向上に努力する▽患者、家族に手術に伴う合併症や血管損傷、死亡例があるなど危険性を適切に説明するなど4項目。病院側は今後、遺族側の意向に沿って、職員全員に事案を説明して再発防止に努める。
病院側は死亡例のほとんどない手術のため、「異常死」として警察に届け出、司法解剖が行われた。担当医は18年4月、刑事処分で不起訴となっているという。
堀之内宏久院長は「病院として患者さんの安全確保の観点から事故防止に取り組んでいくことが重要と考えており、職員の意識向上に努め、さらなる医療事故の防止に取り組んでまいります」などとコメントを出した。