埼玉新聞

 

<新型コロナ>感染急拡大、一抹の不安抱える観光地 観光客に来てほしい…コロナ慣れした感じ「怖い」

  • 観光客が少なく、出控え感があった蔵造りの「一番街」=21日午後、川越市

 新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、3連休が21日始まった。絶好の行楽日和となった初日、長瀞や川越など埼玉県内の観光地にも多くの客が訪れたが、高齢者が少ないなどの変化も。訪れる側も迎える側も感染対策に一抹の不安を抱えつつ、晩秋を楽しんだ。

■高齢者少なく/川越

 3連休の初日を迎えた小江戸川越。秋らしい好天に恵まれたが、観光客でごった返すような光景はなかった。

 観光スポット「時の鐘」近くにある土産店の店員は「先週の土曜日と比べると、きょうは観光客が圧倒的に少ない。感染者が急増し、観光を控えているのかもしれない」と話した。若者や小さな子ども連れの観光客が多く、高齢者の姿はほとんど見られないという。「うちは年配の客層に喜んでもらえるようなお店。以前のようにお年寄りの団体客に来ていただかないと厳しい」と話していた。

 蔵造りの町並みで知られる「一番街」で、店先に立っていた店員は「商売をしている以上、この連休中、多くの観光客に来てほしい」と話した。ただ「アルコール消毒液を置いても使わずに店に出入りしたり、マスクを外して食べ歩きをしている観光客も見られるようになった。みんなコロナ慣れしている感じがして怖い」。

 群馬県太田市から友人と観光に訪れた女子高校生(17)は「コロナ感染者が増えてきて不安もあるが、それよりも遊ぶ気持ちの方が勝ってしまう。(多くの感染者が出ている)東京でなければ大丈夫かなと思う」と話していた。

■食の催しにぎわう/長瀞

 3連休の初日となった21日、県内屈指の観光地として知られる長瀞町は大勢の観光客でにぎわいを見せた。全国の新型コロナウイルス新規感染者が連続で過去最多を更新していたが、紅葉が見頃を迎えている町内では観光イベントも実施。町の関係者は大勢の観光客を喜ぶ一方、感染拡大を懸念する声も聞かれた。

 長瀞町長瀞の秩父鉄道長瀞駅前広場で21日、イベント「ミートフェスタin長瀞」がスタート。秩父地域のおいしい肉グルメが楽しめるイベントで、23日まで行われる。秩父鉄道沿線の飲食店が肉料理を販売したほか、ちちてつ長瀞駅そば店では、「ALL埼玉ご当地 秩父味噌(みそ)らーめん」も新発売された。

 同駅前広場で肉料理を味わっていたさいたま市と本庄市の20代女性2人組は「自然を感じたくて長瀞に来た。新型コロナのことはあまり気にしなかった」と語った。一方で、人気アニメ「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」のコスプレ姿で、東京都などから訪れた女性4人組は「新型コロナ対策でレンタカーを借りて、換気しながら来た」と話した。

 宝登山神社参道特設会場でも21日から23日までは「ちちぶのめぐみ感謝市」が行われており、木工品や飲食物などを販売。23日までは紅葉の見頃に合わせ、ライトアップも実施している。21日は駐車場が一時満車になるなど、大勢の参拝客が足を運んでいた。

 岩畳通りにある商店街もにぎわい、食べ歩きを楽しむ観光客の姿が見られた。店では消毒液を置いたり、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保って接客したりしていた。土産物店を営む50代男性は「お客さんは来てくれてありがたいけど、新型コロナウイルスに感染しないか、正直不安はある」と明かし

た。

 町観光協会の田島茂行事務局長(47)は「もちろん観光客に来てほしい気持ちもあるが、今の感染状況を考えると、控えてほしい気持ちもある。もし来る場合は、感染対策をしっかとしてもらえれば」と話していた。

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