埼玉新聞

 

埼玉サッカーの総合拠点、加須にオープン 人工芝のピッチやナイター照明備え、人材育成に大きな期待

  • 夜間照明を完備した2面の人工芝のピッチ=加須市騎西のSFAフットボールセンター

  • ゴムチップのない最新の人工芝

  • 教室の1階部分を利用したチーム控室

 埼玉から世界に羽ばたけ―。加須市騎西の旧県立騎西高校に、県所有で県サッカー協会が管理・運営する「SFAフットボールセンター」(愛称・彩の国KAZOヴィレッジ)が1日、オープンした。

 夜間照明が完備された人工芝のピッチを2面備えるなど同協会の念願だった活動拠点が整備されたことで、選手の強化はもちろん、競技の普及、指導者・審判の育成にも大きな期待がかかる。

■サッカー王国の未来へ

 騎西高校は2008年に不動岡誠和高校と統合し閉校。11年3月の東日本大震災による福島第1原発事故を受けて、同県双葉町の避難所として13年12月まで一時利用された。最も多い時で1423人の町民が暮らす生活拠点となっていた。

 そして今回、埼玉サッカーの総合拠点となるフットボールセンターへ、新たに生まれ変わった。センターは県協会と県が協力して整備。県協会はグラウンドとその付帯設備の工事に約3億5千万円を投じ、校舎と体育館の改装は県が担当した。

■最新の人工芝

 施設に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、校庭に造られた色鮮やかで広々とした2面のピッチだ。

 グラウンドの人工芝には「ノンフィル人工芝」という最新型を採用。芝糸の長いロングパイル人工芝に、緩衝材にはゴムチップや砂は使わず、短い芝を根元に絡み付けることで、よりクッション性に優れるという。天然芝を思わせるほど、ふかふかしている“緑のじゅうたん”。実際に立ってみるとよく分かる。

 天候の影響も受けにくく、ナイター照明設備もあることで、午後9時まで使用可能なのも大きな魅力だ。早速、近隣の高校が平日の夕方に練習する姿もあった。

 このほか、校舎の1階の8教室はチーム控室となり、体育館の2階にはフットサルが可能な体育室なども備える。

■出だし好調

 日本サッカー協会のデータボックスによると2017年度の各都道府県の選手、指導者、審判の登録数の合計で埼玉は約8万4千人と東京に次いで全国2位を誇る。「サッカー王国埼玉」と言われるように人材の宝庫であり、フットボールセンターの開設が追い風になることは間違いない。

 今後はサッカーの大会はもちろん、県選抜の練習のほかに指導者ライセンスの講習会なども行われる予定で、県サッカー協会の鈴木茂会長は「埼玉出身の日本代表選手を多く輩出したい。さらに選手だけでなく、世界で活躍できるような指導者や審判も育成できれば」と未来を見据える。

 一方、アクセス面では最寄りのバス停からは徒歩15分、車で来るにしても住んでいる地域によっては相当な時間を要するなどの懸念はある。

 それでも、同協会の藤田雅彦広報委員長は「現場に来てもらって、実際にピッチを使ってもらえれば、『またここでやらせてあげたいな』と思ってくれる指導者の方も多いのでは」と力を込める。

 オープンセレモニー翌日の3日に行われた8歳以下のキッズを対象としたフェスティバル終了後には、次回の予約をして帰る指導者もいた。出だしは好調のようだ。

■センターの概要

 SFAフットボールセンターはナイター照明完備の人工芝グラウンド2面(西側、東側)に加えて、体育館の1階にはトレーニング室、剣道場、卓球場、柔道場、2階にはフットサルなどが可能な体育室を備え、多様な活動を支える。

 体育館はそれぞれの部屋のみの貸し出しでトレーニング器具、競技器具はない。教室1階は更衣室として利用できる。駐車場は300台収容。利用時間は午前9時~午後9時。利用可能日、申し込み方法、料金、アクセスなどは県サッカー協会のホームページへ。

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