箸を入れれば、簡単に割れる。その塊を口に入れると、硬くもなく歯ごたえのある柔らかさだ。口の中には、しょっぱさではなく、甘さを抑えた上品な味が広がる。外国人シェフが調理しているのだが、老舗の日本料理屋で出されたような定食に誰もが驚くに違いない。

　ランチで提供する豚の角煮定食（税込み880円）はスリランカ人のオーナーシェフ、ドゥシャンタ・ラビンダさん（40）自慢の一品。脂と赤身のバランスが良いとされるオランダ産豚肉を秘伝のかつおだしと沖縄産黒糖で作った特製タレに漬け込み、丸1日かけて煮込んでいる。

　「角煮定食だけを目当てに来てくれるお客さんもおり、茨城や千葉からくる人もいるんです」と目を細めるラビンダさん。2002年に妻のディヌーシャさんとともに来日し、都内の居酒屋などでアルバイトをしながら、和食の作り方を修得。7年前に日本料理店をオープンした。

　16年には、和食専門店の外国人シェフ4人が自慢の料理を競う日本テレビの番組「和食ワールドグランプリ」に出演。ラビンダさんは「ブリダイコン」で見事優勝した。「お客さんの好みに合った料理を出してあげたい」。絆を大切にするラビンダさんはいつもこう思っている。

【メモ】「ダイニング絆」

　埼玉県ふじみ野市上福岡1の10の10（電話049・269・5677）。その他のお薦めランチは、タルタルソースたっぷりチキン南蛮定食（税込み780円）、牛タンシチュー定食（同980円）など。営業時間は午前11時30分～午後2時、午後5時～同11時。年中無休。だたし、土、日曜、祭日のランチは休み。