子どもやお客さん守るため…雪景色の埼玉県内各地、大人が奮闘 学校、観光地、駅前などで朝から雪かき
埼玉県内で5日から降り始めた雪は帰宅の足を直撃し、ピークを過ぎた6日も通勤・通学に影響を及ぼした。想定外の大雪に白い息を吐きながら雪かきに汗を流す人が歩道に並び、積雪の多い秩父地域では急きょ休校措置を取る学校もあった。
秩父市内は最大積雪27センチを観測。6日午前7時ごろには再び小粒の雪がパラパラと舞い始め、住民の通勤・通学に大きな影響が出た。市教育委員会によると、6日は市内小中学校計21校のうち16校が休校の措置を取った。降雪の影響で10校以上が同時に休校するのは、2016年1月18日に秩父地域を襲った積雪34センチの大雪以来。
同市野坂町の市立南小学校(児童数171人)は本来、6日は2時間遅れで授業を行う予定だったが、「想定以上の積雪で、児童たちの通学が困難」と判断し、同日午前6時ごろに急きょ休校を決めた。教員たちは通常勤務し、校内周辺の雪かき作業に汗を流していた。
同校の萩原敦校長は「雪で休校になるのも、児童たちにとっては良い思い出の一つ。今日は職員たちでしっかり雪かきをし、明日は安全な状態で児童たちを迎えたい」と話していた。
蔵造りの町並みで知られる川越一番街商店街も雪化粧。観光客を安全に迎えようと、各店舗の関係者らは6日の朝から、小雨が残る中で雪かきに追われた。商店街で乾物店「中市本店」を営む店主の落合康信さん(54)は、午前10時の開店前から作業を開始。歩道の雪を取り除き、蔵造り建築の店舗1階の屋根に積もった雪を落とした。「道が狭いので、お客さんが雪を避けて車道に出ると危ない。屋根から落ちる雪が当たらないようにもしなければ」と注意を払う。
5日は夕方早めに閉める店が目立ち、臨時休業した店舗もあった。6日も底冷えする寒さが響き、客足はまばら。落合さんは「大雪が土日じゃなくて良かった。積もってしまうと、稼げる日が全く駄目になってしまうので」と少しほっとした様子だった。
熊谷市妻沼の妻沼聖天山では国宝の「歓喜院聖天堂」の境内が真っ白に染まり、関係者たちが早朝から雪かきに追われた。スコップで雪かきをしていた鈴木英秀副住職(49)は「雪で見に来る人もいるので、これぐらいで済んで良かった」と汗を拭った。
久喜市のJR久喜駅西口周辺では市都市整備課の職員らが朝8時ごろから点字ブロックなどの雪かきを行っていた。「前日、雪が積もり始めた午後2時ごろから夜6時ごろまで点字ブロックの上などに融雪剤をまくなどの対策を講じたが、その後もまた降ってしまった」といい、「市内にはほかにも駅があり、作業には一日かかるかなと感じている。転ばないように歩道橋の階段なども作業したい」と話した。
羽生市の男性(66)は自宅前で、「妻と娘がこれから出かける。車を出しやすいように雪かきをした」と汗を拭っていた。